序章 峠の文明開化/峠に心惹かれて/文明開化の始まりとともに/竹内街道──世界に開かれた大道/第一章 宮都の原郷/1 近親結婚の思惑──皇祖母尊の時代/純血主義の弊害と「吉野の盟約」/ゴッドマザーとしての斉明女帝/愛情深き女帝の最期/2 飛鳥の「田身嶺」/女帝を大規模工事へと駆り立てた「豪気」/「田身嶺」とは何か/国家的饗応・饗宴施設としての嶺/3 真神原の宮処/「入鹿の首塚」が語りかけるもの/国際都市としての飛鳥真神原/第二章 遷都の条件/1 遷都の予兆/遷都に伴うネズミの異常行動/難波への遷都、中大兄皇子による人心操作?/近江への遷都、そして「予兆」という政治手法の終焉/2 難波長柄豊碕宮と難波宮/孝徳天皇による新宮造営/孝徳天皇と中大兄皇子の対立/前期・後期難波宮をめぐって/3 近江大津宮/遷都実現までの対外的な施策/首都防衛ゾーンとしての近江国/消えた大津宮を探し求めて/因縁の対立の果てに/壬申の乱と倭京/第三章 藤原京へ/1 新京の構想/御薪の宴、そして「みやこ」のあり方の変容/天武天皇の遷都への躊躇/最晩年に至っての造都造営への意識の高まり/2 「新益」藤原京/持統天皇に受け継がれた造都事業/道路の造成から始まった「都づくり」/藤原宮と藤原氏の関連性/3 藤原京という時代/飛鳥京と藤原京の非分離性/“一卵性家族”の八角墓──飛鳥時代の終焉/第四章 平城京へ/1 百官の府/母・元明女帝に引き継がれた遷都構想/貴族官人の母胎としての「百官の府」/「宮城図」の詳細/「倭京」の到達点としての平城京/2 羅城門はあったか/史料から見えてくる羅城門/歓迎行事の推移とともに/羅城がないのに羅城門?/3 「不改常典」の謎/元明の詔の特異性/歴代天皇即位の詔における「不改常典」/首皇子の出生から生まれた「不改常典」/持統天皇の最晩年における執念の所産として/第五章 流離する宮都/1 平城京・恭仁京/波乱含みの聖武の治世/藤原広嗣の乱を受けて/“遷都ならぬ遷都”からの恭仁宮造営/短命であった恭仁宮の全貌/2 紫香楽宮・難波宮/聖武天皇の紫香楽宮行幸と「大仏建立の詔」/四度目の行幸における重大な決断/橘諸兄による難波宮への着目と「皇都」宣言/“彷徨五年”の果てに/3 北京(保良宮)・西京(由義宮)/「北京」近江保良宮の成り立ち/藤原仲麻呂による新羅出兵計画/異変、そして廃墟と化す/「西京」河内由義宮の成り立ちと道鏡の野望/宣託事件の経緯/逆効果に終わった法均・清麻呂姉弟の策略/称徳女帝の孤独を癒やした由義宮行幸/第六章 「山背」宮都へ/1 皇統の転換/「倭京」から「大和宮都」、そして新たな宮都へ/皇太子をめぐる変化/光仁天皇の施策と天皇呪詛事件/存在感を増す藤原式家/2 遷都の思想/桓武天皇の即位と氷上川継の乱/事件をめぐる様々な思惑/桓武天皇に芽生えた強い自覚と個性的な施策/詔・勅から垣間見られる天皇の思い/蝦蟇の大群の大移動、そして遷都のスタート
他