はじめに/序章 ロシアによるウクライナ侵攻の衝撃/1 専門家はなぜ読み誤ったか?/2 【検証その1】ロシアはウクライナに侵攻しない?/「合理性の罠」/プーチンの誤算/国際政治の想定と現実の「ずれ」/抑止力の欠如/3 【検証その2】キーウ陥落は時間の問題?/欧米の軍事分析とその後の展開/ロシアのウクライナ侵攻が意味すること/第1章 国際政治の座標軸──パワー・利益・バランス/1 国家と国際社会の体系/三者体系バランスの崩壊/2 利益の体系/国益の重要性と概念の曖昧性/死活的国益/私益、業益、省益、地方益/ウィン・ウィンの陥穽/3 パワーの体系/パワーとは何か?/軍事力/経済力/国力の基礎的要素/パワーの強制性/シャープパワー/4 パワーバランス/勢力均衡論の是非/脅威への均衡/5 経済相互依存か価値の同盟か?/『大いなる幻想』/エア・クロウの洞察/6 価値の重さ/国際政治と価値(法と道義)/正義と力/国際秩序と価値/香港の自由か中国の市場か?/六語のツイートが提起した問題/民主主義の後退と権威主義の広がり/第2章 カギを握る戦略とインテリジェンス/1 戦略/「戦略」とは何か?/戦略とパワー/グランド・ストラテジー/戦略の欠如/地政学的戦略の失敗/戦後日本に戦略はあったか?/国際協調と日米同盟/米国の世界戦略の変遷/戦略的中国/2 インテリジェンス/情報とインテリジェンス/情報ミステリーというギャップ/「情報戦」(ヒューミントから情報操作まで)/天安門事件と現場の情報力/「想定外」の駐ペルー大使公邸占拠事件/国連安保理と情報の真偽/キューバ危機と日本の情報収集・分析力/ウクライナ侵攻とロシアの情報・宣伝戦/第3章 日本を取り巻く危機──尖閣諸島、南シナ海、台湾海峡、朝鮮半島/1 戦争の始まり方/「座して敵の第一撃を待つか?」/中国の「後発制人」と「核兵器の先制不使用」/トゥキディデスの「小さな事件や紛争」と日本周辺のホットスポット/2 尖閣諸島/中国の領有権主張と現状変更の動き/中国公船の活動の増加/日本による有効支配と日米安全保障条約/3 南シナ海/南シナ海の「軍事化」という中国の力による現状変更/国際仲裁裁定と「九段線」/中国の人工島は排他的経済水域と大陸棚を有さず/「航行の自由作戦」の意味と効果/「法の支配」対「法による支配」/ソクラテスの論駁/日本の死活的国益としての南シナ海/4 台湾海峡/緊迫する台湾海峡/「上海コミュニケ」が残した難題とキッシンジャーの願い/平和統一か武力統一か?/「中華民族の偉大な復興」と台湾人アイデンティティー/米国の「戦略的曖昧」と中国のレッドライン/台湾海峡は一触即発/中国人民解放軍の優位/台湾侵攻シナリオ/台湾の「ハリネズミ」戦略──「非対称能力」の強化/台湾のアキレス腱/中国の心理戦と台湾人の覚悟/5 朝鮮半島/非核化失敗の歴史/「米朝枠組み合意」/六者協議「九・一九共同声明」/ほか