序章 比較文明学と宗教/復活する近代以前の文明/インド文明とは何か/外来宗教の相克さえ多様性/第一章 ヒンドゥー・ナショナリズム/インドの根幹/ヒンドゥー・ナショナリズムと南アジア/宗教ナショナリストの主張の背景/ムスリム側の意識/過剰な仕返し/第二章 ヴェーダの宗教、バラモン教、ヒンドゥー教/ヒンドゥー教の循環的性質/多源的神々が収斂するヒンドゥー教/ヒンドゥー教へいたるホップ・ステップ・ジャンプ/通奏低音としてのダーサの宗教/征服者の聖典『ヴェーダ』/多次元的な構造の根源/遊牧民の宗教からの変容/保守と革新のウパニシャッド/契機はインドの「都市化」──バラモン教前期/神学の体系──ウパニシャッドと六派哲学/文学が作った信仰形体──輪廻思想と業/国教化と聖典編纂──バラモン教中期/タントリズムの時代──ヒンドゥーの形成/第三章 バラモン教とインド仏教/仏教とバラモン教の鳥瞰的把握/1 ウパニシャッドの申し子/ブッダ誕生の社会的背景/長寿だったブッダ/反バラモンとしての仏教/根本思想は、対立を超えること/ゴータマ・シッダールタ一度目の悟り/二度目の悟りと梵天勧請/神仏習合型宗教へグレードアップ/ブッダの聖遺物崇拝と仏教の展開/仏教教団の根本分裂/枝葉分裂と部派仏教のアビダルマ/民衆を巻き込む「説話」による運動/2 大乗仏教の意義/大乗仏教発生前の仏教/大乗仏教の鳥瞰的理解/大乗仏教の史的背景/百花繚乱の大乗仏教──文明融合の果実/脱インドの普遍宗教へ/文学作品的な大乗仏教経典/シルクロード交易が生んだ龍樹とマニ/シルクロード交易の衰退と大乗仏教の方向転換/大乗思想の確立/空の関係性/仏教とバラモン教の相互作用/仏教のバラモン教化の背景/ヒンドゥー教化する仏教/密教とはいかなる仏教か──後期大乗の姿/雑密と純密/悟りと儀礼の一体化/北へ東へと広がる密教/インド仏教の復興/アンベードカルの新仏教運動/第四章 シク教の理想と挫折/シク・ディアスポラ/創始者ナーナクの思想背景/ナーナクの人生と思想/倫理的生活の強調/ヒンドゥーとイスラム、両方の言葉を用いる/共同体に生きる倫理/ナーナクのカースト批判/ムガル帝国の横暴とシク教の倫理/ナーナクの後継者アンガド/シク教団組織の形成者/軍隊組織化するシク教/シク教徒の名前に「シン」「コール」が多い理由/第一一代は意外なグル/パンジャーブの覇者へ/苦難とその克服/シク教のデアスポラ/独立を巡るシク教の役割と不遇/第五章 ジャイナ教、ゾロアスター教、キリスト教/1 ジャイナ教/仏教の姉妹宗教/似ているけれど大きな違い/堅牢な教団組織/裸形派と白衣派/厳しい戒律が教団を存続させた/2 ゾロアスター教/ペルシアを捨てインドへ/人類最古の創唱宗教の世界観/ゾロアスター教と仏教/ペルシアを逃れたパールシー/パールシーの代表的な存在、タタ財閥/鳥葬/他