はじめに/インドネシアはどんな国?/戸惑いと好奇心と世界の未来/本書の構成──イスラームを軸に/序章 地球の縮図──多様性の国インドネシア/日本人にとってのインドネシア/「イスラーム社会」と「ムスリム社会」/「原理主義者」という表現の問題点/「教条主義者」/多文化主義の大国インドネシア/地球の縮図としてのインドネシア/第1章 多文化主義への道──五つの建国理念/国境がもたらしたもの/国章に見る多様性を生きる知恵/「ティダ・アパアパ」の精神/パンチャシラの精神──五つの建国理念/唯一神の意味/調和の源/パンチャシラの受容/ボロブドゥールの重み/文明の重層性/第2章 土着文明とイスラーム──反原発運動と信仰/不合理性の効力/ジャワ文明/スルタンの役割/イスラームとジャワ文明/原子力発電所建設計画とイスラーム/原発反対運動とイスラーム/原子力発電所とローカル文明/聖人崇拝の伝統/必要以上を求めない/自然と生きる/連帯の精神/ローカル文明の普遍性/第3章 スハルト政権興亡史──独裁者とムスリムたち/独裁と“開発”の時代/インドネシアの政治変化/スカルノからスハルトへ/スハルトの権力掌握/多数派の少数派メンタリティー/強硬派ムスリムの抵抗/ムスリムとスハルトの新しい関係/ムスリムの前進/ムスリムの力/スハルト政権崩壊へ/暴動に揺らぐインドネシア/消えない疑惑/宗教の社会的合理化/スハルト終焉とアミン・ライス/アミン・ライスの変化/アミン・ライスの野望/アミン・ライスの限界?/スハルト終焉とグス・ドゥル/グス・ドゥルの改革/グス・ドゥルと少数派/グス・ドゥルの自己矛盾/第4章 教義と実践の狭間で──ムスリムたちの実情/異なるムスリムの態度/有機体としての宗教/イスラームの聖人崇拝/ローカルな聖地と神話/墓の神聖化/教義に反する物語/「ムスリム社会」の属性/多様化する社会への対応/弱者や少数派の救済/トランスジェンダーのイスラーム学校/トランスジェンダーへの保護と援助/ウラマの見解/宗教と社会の方向性/第5章 終わらない対立──教条主義と自由主義/ムスリムの声を聞く/自由主義の担い手/イスラームと民主主義/自由イスラームネットワーク/イスラームの美/ウリルへの賛否/自由主義の行き詰まりと希望/ラマダン時の襲撃/イスラーム防衛戦線の実態/ブタヴィ族のエカ・ジャヤ/襲撃の理由/過激行動の裏側/ヒズブット・タフリール・インドネシアとイスマイル・ユサント/社会の退廃とカリフの必要性/カリフの独裁化?/有言実行の態度/イスラームと女性/男尊女卑の宗教?/一夫多妻制の現実/教条主義者アブ・バカール・バアーシル/教条主義者の実像/頑固一徹/ムスリムと異教徒の共存/ジハードの思想/多面的なジハード/憲法第九条とイスラーム/開拓者としてのグス・ドゥル/共産主義者の友だち/現実主義のグス・ドゥル/大統領就任/グス・ドゥルと新しいイスラーム/グス・ドゥルと政治/第6章 テロリズムと対峙する大国──「イスラーム国」の登場/イスラームのイメージ/ほか