はじめに──不確実性の時代におけるロシアの軍事戦略/「ポスト冷戦」時代の終わり──揺らぐ国際秩序/軍事力の「効用」/非軍事的闘争論/テクノロジーは戦争を変えるか/本書を理解するための基礎知識/第1章 ウクライナ危機と「ハイブリッド戦争」/1 NATO拡大──東欧でのオセロ・ゲーム/リガ空港の「バックファイア」/倉敷に人民解放軍の基地ができたら/後退する「戦略縦深」/小さな軍事大国/「アフガニスタンのことを考えて眠る」/「勢力圏」と「大国」/2 ウクライナで起きたこと/瞬く間に失われたクリミアとドンバス/人間の「認識」をめぐる戦い/ドローン戦争/米海兵隊も舌を巻くロシアの電磁波作戦能力/ウクライナのインフラを麻痺させたサイバー攻撃/3 「ハイブリッド戦争」をめぐって/非クラウゼヴィッツ戦争?/「360度同盟」へ/「ハイブリッド戦争」論の起源/戦争の「特徴」と「性質」/古くて新しいハイブリッド戦争/ハイブリッド戦争に関する3つの論点/第2章 現代ロシアの軍事思想──「ハイブリッド戦争」論を再検討する/1 非軍事的闘争論の系譜/ロシア軍参謀総長が語る21世紀の戦争/レーニンとクラウゼヴィッツの戦争理解/スリプチェンコの「非接触戦争」論/情報の力──メッスネルの「非線形戦争」論/パナーリンの「情報地政学」理論/ロシアの疑心暗鬼/軍隊は役立たずに?/2 「永続戦争」の下にあるロシア/「カラー革命」への脅威認識/戦場としての言論空間/NGOを「外国の手先」と認定/若者の心を掴め/プーチンの市民社会論/ロシアはなぜ米国大統領選に介入したか/3 「カラー革命」に備えて──ロシア国内を睨む軍事力/プーチンの「親衛隊」/国家親衛軍をめぐる権力関係/ゲラシモフ演説に見る脅威認識/コロナ危機とプーチン政権/4 それでも戦争の中心に留まる軍事力/思想と実践の間/ゲラシモフ演説を読み直す/ドクトリンではなくハッパ/予測の困難性を超えて/第3章 ロシアの介入と軍事力の役割/1 ウクライナ紛争に見る軍事力行使の実際/クリミア半島での電撃戦/二転三転するドンバス紛争/軍隊は強い/親露派武装勢力の「戦う理由」/「ハイブリッド戦争」と「ハイブリッドな戦争」/2 中東での「限定行動戦略」/シリア紛争を一変させたロシアの介入/愛国者公園にて/「第6世代戦争」の入り口/「精密攻撃」と残虐性の価値/介入戦争を可能にした限定行動戦略/3 特殊作戦部隊と民間軍事会社/シリアに送り込まれたロシアの秘密部隊/平時と有事の間で戦う特殊作戦部隊/砂漠に咲くひまわり/民間軍事会社「ワグネル」の誕生/ワルキューレの騎行──ドンバス紛争とワグネル/ワグネルの「事業モデル」/リビアでの敗北/「ワグネルって何ですか?」/4 「状況」を作り出すための軍事力/「勝たないように戦う」/「解凍」されたナゴルノ・カラバフ紛争/ドローンは「ゲーム・チェンジャー」か?/「意志のせめぎ合い」としての戦争/アゼルバイジャンの「読み勝ち」/エスカレーションを抑止する/暴力の行使という溝/第4章 ロシアが備える未来の戦争/1 大演習を見る視角/秋は演習の季節/そもそも演習とは/ほか