まえがき──この本を書く目的について/ヨーロッパの中の非ヨーロッパ語/ウラル・アルタイ語/ことばの仲間を見つけ出すこころみ/言語同系説と民族感情/言語学者たちの大冒険/『日本語がウラル・アルタイ語に属することの証明』/ウラル・アルタイ説とツラン主義/日本でのウラル・アルタイ学/言語学研究の二つのアプローチ/ことばとアイデンティティ/第一章 ウラル・アルタイ説の出現とその道のり/1 ウラル・アルタイ語族はどこにどう分布しているか/ウラル山脈とフィン・ウゴール語族/アルタイ山脈とトルコ族/トゥングース語と満洲/満洲語はいまも生きている/アルタイ語のなかまたち/2 最初に気がついたのは──スウェーデン人のストラーレンベルク/ロシアのシベリア研究/タッベルトの言語分類/3 ライプニッツの進言からエカテリーナ女帝の博言集への発展/人間にとって世界で最も重要な秘密/パラスの比較語彙集/言語と文学/第二章 言語の同系性を明らかにする方法/1 青年文法学派と音韻法則/考えそのものも表現も文法の中に現れる/音韻法則/エンゲルスと青年文法学派/2 自然科学主義と青年文法学派/青年文法学派の「青年」とは/音韻論受容の実際/アルタイ語の原郷/科学という妄信/音韻法則に対する根本的な疑問/3 「基礎語彙」論のあやうさ/アルタイ語と基礎語彙/言語年代学による水深測量/子どもがことばを変化させる/共通起源のたどりにくさ/朝鮮語から「山」が消えた/「畏れ」もことばを変える/ロシア語に「熊」がない/4 日本人の言語経験を言語類型論に結びつける/朝鮮語は驚くほど日本語と似ている/日本人の言語観が変わる外国語学習/第三章 言語類型論/1 類型論はフンボルトがはじめた/言語学の類型的研究/アルタイ語にはラ行ではじまる単語がない/言語の構造を追う/ベルリン大学をつくったフンボルト/フンボルトの言語類型論/人間の考え方は言語に限定される/外国語学習はまず観察してこそ/2 言語の三つの型/屈折型/膠着型/孤立型/屈折語のやっかいさ/英語を改良しようとした日本の文部大臣/孤立型の「舌足らず」性/3 言語の類型と進化論/類型の発生/フンボルトによる評価/中国語の内的豊かさ/屈折型は膠着型に流れる?/4 孤立語という難問/文法専門の道具/屈折型は膠着型より優れているのか/内的言語形式/5 語族ではなく「言語同盟」を──トルベツコーイ/トルベツコーイという言語学者/貴族だったトルベツコーイ/印欧祖語への疑問符/後置される冠詞/屈折語が優れている、というのは誤り/言語同盟/拡大された民族/6 膠着語に対する積極的評価/トルコ語は単純で論理的/英語の文法はムダで非論理的/変化しないままで変化する/7 言語類型の評価/膠着型言語の「不完全さ」/世界における日本語の位置/日本におけるウラル・アルタイ説論議の第一歩/第四章 日本におけるアルタイ語類型論の受容の歴史
ほか