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ストロベリー・フィールズ

著:小池真理子

電子版

内容紹介

「僕が今、女を感じてるのは、夏子先生だけです」
 出版社社長・月川の後妻となった夏子は、夫の連れ子・りえの継母として、そして自らもクリニックを開業する女医として、七年余りの月日を平穏に過ごしてきた。しかし、りえの友人でロック・バーでバイトをする青年・旬と出会い、その危険なまでの若さに触れた夏子は、目を背けてきた己の渇きに気づかされてゆく……。
 ひとりの女性の陶酔と孤独を描く傑作長篇。
 〈解説〉稲葉真弓

〔著者のことば〕
 誰もが、あからさまに「家族」の大切さを叫ぶ時代になって久しい。「家族」は人間にとって、最小単位の砦であり、「家族愛」ほど、愛の深さにおいて意味のある、健全で価値の高いものはないと見なされている。
 とてつもなく嬉しいことが起こる。真っ先に誰に知らせたいですか、と聞かれる。誰もが「両親」「夫」もしくは「妻」「子供」と答える。
 その健全さは微笑ましく、未来永劫、消えることはないかのように思われて、しかし、同時に、その健全な場所でこそ、人は苛立ったり、憎んだり、絶望したり、孤独の淵をさまよったりするのである。そこに「家族」がはらむ「魔」の部分がある。
 (読売新聞2009年1月13日付、連載完結インタビューより抜粋)

JP-eコード:12000000000000004128
出版社:中央公論新社
コンテンツ公開日:2021年11月30日