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文庫クセジュ

こころの熟成

老いの精神分析

著:ブノワ・ヴェルドン
他訳:堀川 聡司
他訳:小倉 拓也

紙版

内容紹介

老いのこころに生じる問題に光を当てる

 1970年代以降、欧米において、老いに関する精神分析的な議論や発表がみられるようになったが、ほかの世代のそれに比べるとごくわずかであった。本書は、精神分析の見地から、老いのこころに生じるさまざまな視点や問題(年を経るにつれて変化する身体や性、それに伴うこころの問題、社会での役割、臨床と治療の実践、近親者や介護者のケアの問題など)を扱い、「異なる専門性をもち、異なる教育を受けてきた同輩たちだけでなく、一般の人が、年齢を重ねた人たちの心的生活に関心を抱けること」(「序文」)を試みる。
 また、症例とともに、フロイトが自身の老いを綴った書簡をはじめ、ユルスナール、イヨネスコ、モーパッサン、モーリヤック、ジッド、クローデル、レヴィ=ストロースなど、文学作品や手記、講演内容などを随所に盛り込み、思想家や著述家が向き合った老いを病跡学的に参照する。

著者略歴

著:ブノワ・ヴェルドン
精神分析家、臨床心理士。成人と高齢者の精神病理、TAT(主題統覚検査)やロールシャッハ法などの心理検査の投映法の専門家。パリ大学「臨床心理、精神病理、精神分析研究所」(PCPP)の公式所属メンバーとして、教育活動・研究活動に従事。2011年、同大学の臨床心理学・精神病理学教授、2012年、同研究所の副室長に任命。「フランス語圏におけるロールシャッハおよび投映法」の会長を務め、「包括システムによる日本ロールシャッハ学会」(JRSC)とのつながりもある。
他訳:堀川 聡司
2010年、京都大学教育学部卒業。2015年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士( 教育学)、臨床心理士、公認心理師。現在、駒澤大学コミュニティ・ケアセンター、白金高輪カウンセリングルーム勤務。主な著訳書に、『精神分析と昇華――天才論から喪の作業へ』(岩崎学術出版社、2016年)、『心理療法における終結と中断』(分担執筆、創元社、2016年)、『精神分析における生と死』(共訳、金剛出版、2018年)など。
他訳:小倉 拓也
2008年、神戸市外国語大学外国語学部卒業。2015年、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。現在、秋田大学教育文化学部准教授。主な著訳書に、『カオスに抗する闘い』(人文書院、2018年)、『発達障害の時代とラカン派精神分析』(共著、晃洋書房、2017年)、B・フィンク『「エクリ」を読む』(共訳、人文書院、2015年)、N・ローズ『生そのものの政治学』(共訳、法政大学出版局、2014年)など。

ISBN:9784560510469
出版社:白水社
判型:新書
ページ数:183ページ
定価:1200円(本体)
発行年月日:2021年10月
発売日:2021年10月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP