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岩波ジュニア新書 939

森の日本史

著:黒瀧 秀久

紙版

内容紹介

世界有数の林野率を擁する一方、衰退して危機的な状況にある日本の林業。日本人は森とどのように関わってきたのか。森林と共生した古代から、城郭、都市建設のための森林伐採拡大、植林技術の広がり、近代以降の森林利用の増大を経て、現代の環境共生まで、日本人と森林の関係を丹念にたどる。

目次

まえがき

第1章 森林と日本人
 第1節 人類の登場と森林
 第2節 縄文文化とブナ帯文化
 第3節 弥生文化と照葉樹林帯文化
 コラム1●花粉からみる環境考古学と森林

第2章 古墳時代から室町中期までの森林・林業——森林伐採の開始と都市造営
 第1節 大化の改新と森林利用規制
 第2節 古代における寺社造営と森林伐採
 コラム2●仏像と森林・木材

第3章 室町中期から近世までの森林・林業——大森林伐採時代と人工造林の成立拡大①
 第1節 説話・物語にみる巨樹信仰と開発
 第2節 農地開発と森林開発
 第3節 幕藩体制下の商品流通と木材産地形成
 第4節 木材市場の発達と三都
 第5節 「尽山化」と林野制度の整備
 第6節 吉野式造林法の成立と人工造林の拡大
 コラム3●弘前藩の屏風山緑化

第4章 林野制度の近代化と森林・林業——大森林伐採時代と人工造林の成立拡大②
 第1節 明治維新と近代的林野制度の確立
 第2節 入会林野問題
 第3節 国有林の創出とその展開
 第4節 森林法の制定と森林組合
 第5節 民有林の展開
 第6節 木材市場と木材産業の発展
 第7節 木炭生産の全国的展開
 第8節 紙・パルプ産業の原料問題と王子製紙
 第9節 第二次世界大戦前の林業と林政
 コラム4●榎本武揚と森林法
 コラム5●浅川兄弟と朝鮮半島の緑化

第5章 林業・木材産業危機の時代——新たな森林の環境機能
 第1節 敗戦における「林政統一」と林業生産
 第2節 天然林から人工林への転換
 第3節 外材輸入自由化と木材市場
 第4節 資源ナショナリズムの登場と環境問題
 第5節 人間と自然との新たな共生
 コラム6●金原明善と木曽河川の緑化

参考文献・参考論文リスト
あとがき

著者略歴

著:黒瀧 秀久
黒瀧秀久(くろたき ひでひさ)
1957年生まれ。東京農業大学自然資源経営学科教授。博士(農業経済学)。専門は、農林経済学、環境経済学。米国ミシガン州立大学客員教授、中国南京農業大学客員教授、東京農業大学生物産業学部長、日本農業経済学会常務理事、復興農学会副会長等を歴任。主な著書『榎本武揚と明治維新』(岩波ジュニア新書、2017年)、『日本の林業と森林環境問題』(八朔社、2005 年)、『弘前藩における山林制度と木材流通構造』(北方新社、2005年)など。

ISBN:9784005009398
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:254ページ
定価:900円(本体)
発行年月日:2021年10月
発売日:2021年10月22日