なまめかし
奈良・平安の文学と日本のこころ
著:加藤 要
紙版
内容紹介
ほととぎすで季節を知り、月を見て通い婚の切なさに泣く。
花を愛でながら人生を思い、その思いを歌に託す。
『万葉集』や『古今和歌集』などの歌集や『竹取物語』や『枕草子』などの読み物など、1000年の時を超えて生き続ける奈良・平安時代を中心とした文学の一節を読み解きながら、古の人々の暮らしや死生観、そして今なお残る日本人のこころを探る。浮世を忘れ、イマジネーションに満ちた古の世界へ誘います。
目次
[目次]
第一章 触らぬ神に祟りなし〈鎮魂の民俗〉
一 「神の祟り」とは
二 枕に込められた意味とは
三 霊魂とは何か?
四 鎮魂の方法
第二章 しでのたおさ〈ほととぎすの民俗〉
一 山に居る鳥
二 ほととぎすが導く初夏の訪れ
三 勧農の鳥
四 ほととぎすの声が呼び起こすもの
五 冥途から来る鳥
六 亡き霊魂を宿す鳥
七 清少納言『枕草子』の「ほととぎす」
第三章 闇のうつつ〈愛の民俗〉
一 「女」の嗜み
二 音に聞く──噂の女性へ贈る歌
三 垣間見る──のぞきたい男の心理
四 婚ひ──夜這いとの違いは?
五 契りを結ぶ
六 事後の気持ちをしたためた後朝の文(歌)
七 通い婚と三日の餅という風習
八 待ち人の訪れる兆しを読み、占う
第四章 月は無情か〈月の民俗〉
一 月の神は若返りの水を持っている?
二 『竹取物語』に学ぶ名付けの由来
三 お月見の由来
四 「月」は物悲しく眺めるもの
五 月を待つことは、人を待つこと
五章 酒なくて、何のおのれが桜かな〈桜の民俗〉
一 「お花見」と呪術的な飾りもの
二 主役は梅から桜の花へ
三 桜は、予兆の花
四 桜の花見は、豊穣の予祝
五 桜の花に見る人生観
六 桜と雪の関連性
・出典一覧