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岩波新書 新赤版 1888

ネルソン・マンデラ

分断を超える現実主義者

著:堀内 隆行

紙版

内容紹介

二七年間の牢獄生活の後、アパルトヘイト撤廃に尽力、一九九四年に南アフリカ共和国黒人初の大統領となったマンデラ。不屈の生涯ゆえ「聖人」視されることも多いが、実際は冷静なプラグマティストだった。偏狭な国家主義と分断が再び広がる時代に、想像を超える「和解」を成し遂げた類まれな政治家の人生を改めて振り返る。

目次

はじめに——映画や本に描かれたマンデラ

略語一覧

第1章 首長の家に生まれて
 一 人間主義(ウブントゥ)の「伝統」
  誕生と少年時代/宮廷での経験/植民地化の二五〇年
 二 ミッション教育
  キリスト教とマンデラ/「黒い英国人」/フォートヘア大学

第2章 プラグマティストという天性
 一 大都会のアフリカ人
  ヨハネスブルクとマンデラ/アレクサンドラでの生活/ヴィッツ大学とバス・ボイコット
 二 アフリカニズムと共産主義
  改良主義の限界/ICU、共産党、第二次世界大戦/青年連盟/アパルトヘイト/共産党への接近

第3章 非暴力主義という武器
 一 不服従運動とM計画
  住民登録法とカラードおよびトロツキスト/インド系とガーンディー/不服従運動/M計画/マンデラの人物像と指導者像
 二 自由憲章から反逆罪裁判へ
  人民会議と自由憲章/反逆罪裁判/離婚と再婚

第4章 民族の槍
 一 シャープヴィル虐殺
  生体認証国家と女性たちの抗議/PACの結成とシャープヴィル虐殺/非常事態宣言から地下活動へ
 二 武装闘争とその帰結
  黒はこべ/アフリカとイギリスへの旅/逮捕/リヴォニア裁判

第5章 「誰もが彼に影響された」
 一 監獄の内と外
  ロベン島/アパルトヘイトの激化/看守たちの感化とANC/再びの苦難の時代から自伝の執筆へ
 二 黒人意識運動からフリー・マンデラ・キャンペーンへ
  黒人意識運動/家族への手紙/ウィニーの「流刑」とフリー・マンデラ・キャンペーン
 三 釈放への道
  政権の硬軟両様/暴力の応酬と交渉の開始/二人の大統領との会見/偶像化と背信の種

第6章 老獪な「聖人」
 一 釈放から総選挙まで
  釈放と諸外国歴訪/対話の進展とマンデラの役割/紛争の調停者/総選挙
 二 マンデラ政権
  権力の分有/虹の国の高揚感から国民党の連立離脱へ/真実和解委員会とその限界/外交/RDPからGEARへ

終 章
  大統領退任後のマンデラ/マンデラの死とその後/プラグマティズムの功と罪

読書案内
あとがき

図版・地図出典一覧
関連年表
索 引

著者略歴

著:堀内 隆行
堀内隆行(ほりうち たかゆき)
1976年京都府生まれ
1999年京都大学文学部西洋史学専修卒業
2009年同大学大学院文学研究科より博士号取得.日本学術振興会特別研究員、新潟大学准教授を経て
現在―金沢大学歴史言語文化学系准教授
専攻―南アフリカ史、イギリス帝国史
著書―『異郷のイギリス―南アフリカのブリティッシュ・アイデンティティ』(丸善出版)、『現代の起点第一次世界大戦』第1巻(山室信一ほか編、分担執筆、岩波書店)ほか
訳書―『生体認証国家―グローバルな監視政治と南アフリカの近現代』(ブレッケンリッジ著、岩波書店)

ISBN:9784004318880
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:194ページ
定価:800円(本体)
発行年月日:2021年07月
発売日:2021年07月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNB