近代文学研究叢刊 70
『倫敦塔』論集 漱石のみた風景
編:鳥井 正晴
編:宮薗 美佳
編:古浦 修子
内容紹介
作家・夏目漱石の出発を告げる短篇小説『倫敦塔』を味わい尽くす論集。
本書のために書き下ろした『倫敦塔』論7本は、多彩な切り口でありながら、各論者の確かな論究の先に一つの〈塔〉の像が結ばれていくような調和を生んでいる。作品をめぐる漱石書簡、漱石と英文学など、漱石文学を総体的に捉えた論攷も収録。さらに、明治~現在までの『倫敦塔』研究史と詳細な研究文献目録、評釈、机上鼎談を付す。『倫敦塔』研究の可能性を呈出する一冊。
目次
Ⅰ 『倫敦塔』論
「『倫敦塔』の言語現象」 特徴的な言語現象と「御殿場の兎」―虚構を可能にしたもの― 木村澄子
帝国と観光―「反語」としての「倫敦塔」― 松下浩幸
夏目漱石「倫敦塔」論―観光「すること」からの離陸― 宮薗美佳
「余」の紡いだ 〈英国〉― 夏目漱石「倫敦塔」論― 木谷真紀子
「倫敦塔」再考 ―「余の空想」は誰のものか 廣橋香文
『倫敦塔』の時間と空間―「過去」への眼差しを視座として 古浦修子
「倫敦塔」への道 ――「帝国文学」という発表の場から―― 長島裕子
「帝國文學」第拾壹卷第壹(抜粋) 影印
「倫敦塔」をめぐる書簡 長島裕子
Ⅱ 研究史を踏まえて
『倫敦塔』論の前提― 倫敦塔評釈 鳥井正晴
『倫敦塔』研究史 仲秀和
『倫敦塔』研究文献目録 村田好哉
Ⅲ 特別寄稿
ウォルター・スコットの明治と漱石 野網摩利子
Ⅳ机上鼎談―編集のこと・論評 鳥井正晴・宮薗美佳・司会 古浦修子
一 はじめに 編集のこと ⅰ
二 『倫敦塔』論
三 編集のこと ⅱ
四 研究史を踏まえて
五 おわりに 編集のこと ⅲ
机上インタビュー―木谷さんに聞く 木谷真紀子・司会 鳥井正晴
Ⅴ『『漱石作品』論集 風景シリーズ』始末記 編集委員会
「謝辞」にかえて― 人々との縁(えにし)、という「解」 鳥井正晴
コラム 木谷真紀子