岩波新書
「オピニオン」の政治思想史
国家を問い直す
著:堤林 剣
著:堤林 恵
紙版
内容紹介
現代におけるデモクラシーの危機。それは、世界の大規模な変容の反映である。この危機を生き抜く鍵は、人々が織りなす「オピニオン」なる曖昧な領域と、その調達・馴致の長い歴史にある。国家にかかわる思想史をオピニオン論で再解釈することで、大きく変化しつつある政治の存立条件を未来まで見通す、斬新な政治学入門。
目次
序
第一章 オピニオンとは何か
1 フィクションとしての国家——オピニオンの領域
2 オピニオンとは何か
第二章 中世のボディ・ポリティック——「死なない王」のオピニオン
1 「王」——近代国家の起源
2 宗教と法——不死性の言説
3 「王は死んだ。国王万歳!」——イメージとシンボルの力
第三章 近代主権国家の誕生——「死なない国家」のオピニオン
1 抵抗の論理——それでも王を殺すには
2 絶対主義——新たなルールの新たなゲーム
3 リヴァイアサン——言語と思考の海から生まれた怪物
4 神学と政治学のハイブリッド——王権の高みの限界へ
第四章 革命が生んだ新たな祖国——オピニオンは国家のための死を求めるか
1 フランス革命=二重の王殺し——「王は死んだ。国家万歳!」
2 人民主権——合理主義と宗教
3 そして帝政へ——皇帝ナポレオンのオピニオン操作
第五章 現代の国家——ナショナリズムとオピニオン
1 ナショナリズム——危険なる「愛」
2 「死なない国家」の新世界秩序
3 デモクラシーとオピニオン
第六章 国家の未来——政治の死? 不死の人間?
1 オピニオンの歴史と歴史のアイロニー
2 オピニオンが不要になる時代
3 人間を変えるテクノロジー
結
主要参考文献
あとがき