マドンナメイト文庫
倒錯の淫夢 あるいは黒い誘惑
著:北原 童夢
絵:川島 健太郎
紙版
内容紹介
聖性を帯びた美少女に魅入られた男たちは、引きずられるように破滅へと向かい……。
異常性愛と偏愛を描いた珠玉の問題作品集!
病的なものはなんてエロティックなのか――
精神的不具ゆえに聖性を帯びた美少女に、男たちは引きずられるように破滅へと向かい……。
異常性愛と偏愛を描いた珠玉の作品集。伝説の名著がついに復刊!
目次
第 1 話 天使の手首、または自虐と陶酔の儀式 …… 7
第 2 話 黒い繭、または淫蜜にまみれるラバーマスク …… 38
第 3 話 麝香アゲハの纏足、または姦計に蠢く肉孔 …… 70
第 4 話 供養祭、または背徳の肉化粧 …… 100
第 5 話 ポワント、または淫欲をそそるトゥシューズ …… 128
第 6 話 TWINS、または乳房とペニスを持つアンドロギュヌス …… …159
第 7 話 尾長鶏、または黒髪を偏愛する性魔 …… 190
第 8 話 骨のピアス、または秘裂を象る官能のオブジェ …… 22
「ふふっ、痛い?」
「ああ、ちょっとね」
「でも、気持ちいいでしょ?」
「ああ、気持ちいいよ」
そう答えさせられていた。ゆったりしたシルエットのワンピース型病衣を着た有香は、私の背中でステップを踏んだ。片足をあげてバランスを取ったり、くるりと回転して落ちたりした。
それでも私はやめろとは言わなかった。ソールで圧迫される痛みに耐えながら、私はバレリーナの足に踏みつけられる快感に酔いしれていた。鋭い爪先が、刺繍針のように背中を縫うのを感じながら、私は勃起していた。