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スポーツとフーコー

権力、知、自己の変革

訳:千葉 直樹
著:ピルッコ・マルクラ
著:リチャード・プリングル

紙版

内容紹介

フーコーの理論と身体文化の接続
フーコーが残した多くの思索は、いまなお人びとを魅了しつづけている。この本では、スポーツとフーコーの接続を試みる。スポーツと身体活動という文脈における権力関係、知の構築、自己の形成におけるフーコーの枠組みを整理し、フーコーの概念・理論が、スポーツ実践において多くの示唆を与えるものであることを丁寧に解説し、フーコーの思索が新たなスポーツ研究を生み出す有効な手立てであることを示す。
◎北米スポーツ社会学会 書籍賞受賞作

目次

謝 辞
序 文

  一部 権力、知、自己 フーコー派理論への導入                  

一章 ミシェル・フーコーへの導入 
    研究、人生、影響
 フーコーの影響
 フーコーはフーコー派である
 自伝的な概略

二章 支配のテクノロジー
    権力、言説、訓練された身体
 科学的分類と分割する実践
 人間を研究するための考古学的方法
 言説に関するフーコーの考古学的な理解
 フーコーの系譜学の方法
 権力関係
 支配のテクノロジー――規律的な権力
 規律的な技術を調べる
 一望監視方式
 生権力、性、統治性
 支配のテクノロジー――この章のおわりに

  二部 スポーツと運動における身体と生きた経験に関するフーコー派の解釈

三章 知と真理
    元気で健康な身体の言説構築
 フーコーと言説
 身体活動、健康づくり、健康の発掘
 運動処方――「正確なトレーニングの意味とは」
 言説としての健康関連体力
 二〇世紀の逞しく健康な身体の政治――疾病管理による統治
 「戦略的精緻化」
 結 論

四章 運 動
    従順な身体への訓練
 従順な身体
 一望監視方式
 メディアと健康づくり――「普通の」肉体
 スポーツ参加者の反応―反発か

五章 スポーツとジェンダー化された身体の言説構築
 ジェンダー化されたスポーツ・アイデンティティの構築――先行研究の概観
 スポーツ、ジェンダー、覇権的な男らしさを巡る論争
 フーコー派の理論とアイデンティティの言説構築
 スポーツとジェンダーのフーコー派の分析
 ラグビーを取り巻く状況と研究課題の紹介
 スポーツ、ジェンダー、権力に関するフーコー派の分析
 用語のつながり

六章 ラグビー経験の言説分析とジェンダー・アイデンティティの構築
 ラグビーに伴う痛み、恐怖、あるいは快楽に関する男性の主観的な経験
 女性が強くなればなるほど、男性はより混乱する
 スポーツとジェンダー化された身体に関する仮の結論

  三部 倫理的な自己様式化の美学

七章 自己のテクノロジー
 統治される主体、フーコーと主体化
 自己のテクノロジー
 自由の実践としての自己のテクノロジー
 結 論

八章 美的な自己様式化
    自由の実践としてのマインドフル・フィットネス
 マインドフル・フィットネス
 マインドフル・フィットネスの形態と健康づくりの言説
 自由の実践としての運動指導――調査の環境
 自由の実践としての運動指導――一つの運動形態としてのハイブリシス
 自由の実践としての運動指導――健康づくりアイデンティティの再構築か
 結 論

九章 自己への配慮の倫理
    芸術作品としての学問的な自己
 哲学者の役割――「解放する」思考による変革
 ジル・ドゥルーズ――フーコーの壁
 自己のテクノロジーとしての執筆――備忘録
 結 論

十章 真理の倫理的なゲーム
    批判的な教育学と共通の物語
 批判的な教育学とフーコー
 スポーツ教育学とフーコー
 知の倫理的な使用
 倫理的な教育学の道具としての周辺化された知
 周辺化されたスポーツの知の奨励を戦略化する
 かつてラグビー選手だった者の従順な身体への反抗
 共通の物語の政治的な効果を振り返る
 結 論

結 語

著者略歴

訳:千葉 直樹
神奈川県生まれ,中京大学大学院体育学研究科で博士号(体育学)を取得.現在,中京大学スポーツ科学部教授.専門はスポーツ社会学,スポーツ哲学.『現代スポーツ社会学序説』(杏林書院,2003),『グローバルスポーツ論――「越境スポーツ選手」の社会学』(デザインエッグ社,2014)など.
著:ピルッコ・マルクラ
アルバータ大学運動学・レクリエーション学部教授.
著:リチャード・プリングル
モナッシュ大学教育学部教授.

ISBN:9784771033917
出版社:晃洋書房
判型:4-6
ページ数:402ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2021年02月
発売日:2021年02月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:SC