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諦めない経営

峠の釜めし荻野屋の135年

著:髙見澤 志和

紙版

内容紹介

多くの中堅・中小企業が;新型コロナウイルスの感染拡大により経営に苦しんでいる。2020年に創業135年を迎えた駅弁「峠の釜めし」で有名な荻野屋も例外ではない。観光産業と密接に関連するために約9割の売上げを一気に失った。だが;危機に面したのは今回が初めてではない。

 荻野屋は;もともとは碓井峠近くで旅館業を営んでいたが;鉄道が敷設されることを知り;横川駅で駅弁業を開始。いまのベンチャービジネスのような挑戦だ。だが;創業からの道のりは平たんではなかった。第一次世界大戦後には世界大恐慌;第二次世界大戦前後には食材不足の時代に直面。3代目社長となった高見澤一重は;妻のみねじと3人の幼子を残し;若くして急逝。その残されたみねじが;3年の間;来る日も来る日も信越本線横川駅のホームに立ち;美味しい駅弁をつくろうと;お客様の声を聞き続け;ヒット商品となる「峠の釜めし」を創り上げる。しかし;今度はモータリゼーションの逆風。鉄路から道路へと変わっていく中;駅弁からドラブインでの販売に積極的に乗り出し;見事に新しい販路を開拓していく。ピンチをチャンスに変えたのだ。

 著者・高見澤志和が;父・忠顕の急逝を受けて;6代目の経営を引き継いだのは;バブル崩壊後の負の遺産が蓄積され;水面下で膨らんでいたころ。その事実に気づかず;拡大路線を続けた志和はその処理に長年苦しむことになる。

 ようやく負の遺産の清算を終えた直後にコロナ禍に見舞われる。いまが;荻野屋にとっても正念場だ。

「ピンチの後にチャンスがやってきても;すでに諦め;撤退してしまえばチャンスはつかめない。諦めずチャレンジし続けることが成功への要諦だと思う」

 志和は荻野屋の過去の歴史に学び;このピンチを新しい荻野屋として生まれ変わるチャンスにしたいと闘志をみなぎらせている。

 コロナ禍の下で会社の行く末を案じ;なにがしかのヒントや救いを求められている人たちに;荻野屋のささやかな挑戦の歴史が一助となるはずである。

目次

はじめに



第1章「峠の釜めし」誕生

    ――お客様の声を聞く



第2章 押し寄せるモータリゼーション

    ――鉄道から道路へ



第3章 バブルと長野オリンピック

    ――ドライブイン事業の急拡大



第4章 孤独な継承者

    ――「峠の釜めし」の成功体験を見直す



第5章「進化の芽」を育てる

    ――新生荻野屋へ歩みはじめる



第6章 負の遺産を清算へ

    ――持続的成長へのハードル



第7章 創業200年への基盤づくり

    ――東京進出



おわりに

著者略歴

著:髙見澤 志和
髙見澤志和(たかみざわ・ゆきかず)

1976年;群馬県出身。2000年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2018年同大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。2003年に荻野屋へ入社し;専務取締役を経て;2012年に6代目となる代表取締役社長就任。財務・人事など社内改革を推進するとともに;新商品の開発や;首都圏をターゲットにした新規事業を展開するなど;これまでの伝統を踏襲しながらも常に新しい価値の提供を目指し;積極的に挑戦を行っている。

ISBN:9784478110454
出版社:ダイヤモンド社
判型:4-6
ページ数:232ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2021年01月
発売日:2021年01月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN