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講談社現代新書

教育は変えられる

著:山口 裕也

紙版

内容紹介

「みな同じ」の一斉教育から、「みな違う」を前提とした、子ども一人一人にカスタマイズされた、「みんなを伸ばす」教育へ。明治以来の教育システムを根本から変える、本当の意味での「これからの教育」。その基本的な考え方と、具体的な実現方法を、著者による東京都杉並区の取り組みを通じて提案する。

「教育は、変えられる」ーー今、私は、そう確信しています。
「そんなこと、できるわけがない」
こう言うと、すぐにそのような反応が返ってくることが予想できます。
けれど、考えてもみてください。
広がる学力格差。増加するいじめ。減らない不登校。拡大する特別な教育ニーズ。そうしたことの総体として機能せずに荒れる学級……。教員の過酷な労働の原因にもなっているこうした教育の問題がいまや限界に達していることは、誰にも否定できないはずです。
では、どうすればよいのか。
私は、杉並区教育委員会のスタッフの一人として、ある、「そもそも」を問い直すことから始めました。
「そもそも、教育は何のためにあるのか」
その答えは、とてもシンプルなものです。
「自らの道を拓く『自立』と、誰もが共に生きる『共生』のため」
「自立と共生のための『学び』を、『すべての人』に届けるため」
自立と共生は、「支え合い」の関係にあります。誰もが共に生きられる世界があればこそ、すべての人が自分の道を拓くことができます。自分の道が拓かれていく実感の中でこそ、すべての人が共に生きることのできる世界の大切さが分かります。
そう、教育には、公的な機関が携わることで、すべての人が学びの機会を確実に得られるようにし、一人一人が自らの道を拓けるようにする意味と、みんなが共に生きられるようにする意味があります。この二つの意味を、分かつことなく支え合うようにして満たすこと。それが、教育の目指すところなのです。
(「はじめに」より)


目次

はじめに-ーー教育は変えられる
第一章 自分の物語を生きるための学び
第二章 生かし合う人材と組織
第三章 求めに応える施設・設備
第四章 引き受け支え合う行財政
第五章 自分たちの物語を紡ぐための公教育
おわりにーー教育は変わる

著者略歴

著:山口 裕也
山口裕也(やまぐち ゆうや)
一九七九年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻修士課程修了。博士課程在学中の二〇〇五(平成一七)年から研究員として杉並区教育委員会事務局杉並区立済美教育センターに在籍。同センター調査研究室長や東京学芸大学非常勤講師などを経て、現在は杉並区教育委員会教育長付主任研究員。主な著書に『よい教育とは何か』(北大路書房、共著)がある。

ISBN:9784065221822
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:352ページ
定価:1200円(本体)
発行年月日:2021年01月
発売日:2021年01月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JN