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講談社学術文庫

〈名奉行〉の力量 江戸世相史話

著:藤田 覚

紙版

内容紹介

時代劇でおなじみの名奉行や悪代官の意外な実像から、驚くほど便利な江戸の暮らしまで、研究者ならではの視点で江戸の風もあざやかに切り取った短編集。
桜吹雪で知られる「遠山の金さん」の父は、とある試験を転機に異例の大出世を遂げた名官吏だった!? 
「おれがわるかつた」、「ゆるせゆるせ」とざっくばらんに詫びる「暴れん坊将軍」吉宗の肉声に、文字通り女房を「借金のカタ」に差し出してしまった旗本、年利一二〇〇%の超高金利金融「烏金」利用者の実態に、宛名に記された「殿」と「様」の格付けをめぐるひと悶着……。
読めばもっと江戸が好きになる。第一人者の篋底から取り出された珠玉の掌編の数々!
(原本:『大江戸世相夜話』中公新書、2003年)

【本書の内容】
はしがき

  遠山金四郎の入墨
遠山金四郎の入墨/遠山金四郎父子/江戸の受験参考書/名奉行の「条件」/官職名の由来/銭形平次と目明/親の歳を間違える金四郎

  お代官様――悪の代名詞
将軍吉宗の肉声/遊芸を許す田沼意次/お代官様――悪の代名詞/秘薬「熊胆」の値段/「謙譲の美徳」の裏側
二十二時間・二十三日間・三年間/白いカラスは吉兆か/殿と様はどちらが偉いか

  大御所の犯罪
大御所の犯罪/無 尽/談合体質の根深さ/拾った金は誰のものか/象をめぐる暗闘/国民の生命の重み/女房を借金のカタに置いても

  女髪結い繁盛記
便利すぎて困る/女髪結い繁盛記/江戸の贈答事情/江戸の高利貸し/江戸の女性と証文の怖さ/地獄の沙汰も金次第

  放蕩息子の矯正
読み書き算盤/放蕩息子の矯正/「うろたえる」老人たち/天明七年のポスター/上流女性をどう呼ぶか

初出一覧
あとがき
学術文庫版あとがき



著者略歴

著:藤田 覚
1946年、長野県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授,文学博士。専門は日本近世史。著書に『幕藩制国家の政治史的研究』,『遠山金四郎の時代』、『幕末の天皇』、『天皇の歴史』第6巻「江戸時代の天皇」、『勘定奉行の江戸時代』、『日本の開国と多摩』など多数。

ISBN:9784065222362
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:240ページ
定価:960円(本体)
発行年月日:2021年01月
発売日:2021年01月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ