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白水Uブックス

見えない人間 上

著:ラルフ・エリスン
訳:松本 昇

紙版

内容紹介

見えない存在となった黒人青年の遍歴

 「僕は見えない人間である。僕の姿が見えないのは、単に人が僕を見ないだけのことなのだ」町の有力者の集まりでバトルロイヤルに参加させられ、演説を行なった代償に、黒人大学の奨学金を貰った〈僕〉は、北部出身の白人理事を旧奴隷地区へ案内するという失敗を犯して、大学を追い出されてしまう。学費を稼ぐためニューヨークへやってきたが、就職活動はうまくいかず、たまたま発揮した演説の才を見込まれて政治運動に参加することに……。ビル地下の穴ぐらに住む黒人青年の遍歴とピカレスクな冒険を描いた20世紀アメリカ文学の名作。全米図書賞受賞。警官による黒人射殺事件を契機にBLM運動が世界的な広がりを見せているが、現在の社会において「見えない」存在と化しているのはアメリカ黒人だけではない。いま読まれるべき小説。

著者略歴

著:ラルフ・エリスン
1914-1994年。アメリカの作家。オクラホマ・シティ生まれ。黒人大学で作曲家を志すがやがて文学に傾倒してニューヨークへ移住。ハーレムで働きながら黒人文学の先駆者リチャード・ライトらと交流し、短篇や書評を雑誌に寄稿する。1952年発表の長篇『見えない人間』は絶賛を浴び、全米図書賞を受賞。その後、各地の大学でアメリカ文学とロシア文学を講じながら評論等を執筆。
訳:松本 昇
1948年長崎県生まれ。アメリカ文学者。明治大学文学部卒業、同大学院博士後期課程満期退学、国士舘大学名誉教授。主な編著に『記憶のポリティックス――アメリカ文学における忘却と想起』(共編、南雲堂フェニックス)、訳書にラルフ・エリスン『影と行為』(共訳、南雲堂フェニックス)、ゾラ・ニール・ハーストン『彼らの目は神を見ていた』(新宿書房)など。

ISBN:9784560072318
出版社:白水社
判型:新書
ページ数:420ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2020年12月
発売日:2020年11月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB