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ブルーバックス

見えない宇宙の正体

ダークマターの謎に迫る

著:鈴木 洋一郎

紙版

内容紹介

私たちが知っている原子や分子などの通常の物質は、宇宙に存在する全物質、エネルギーのわずか5%にしか過ぎません。残りの95%はよくわかっていないのです。全体の約68%を占めるのが、宇宙を加速膨張させるダークエネルギー、そして残りの8割5分、全体の約27%を占めるのがダークマターと呼ばれる未知の物質です。本書では、その未知の物質、ダークマターの正体について、これまでにわかってきたこと、今解明されつつあること、見つかりそうでなかなかその姿を見せてくれない実態を紹介します。
ダークマターがなければ、今の銀河の姿、現在の構造にはなっておらず、人類も存在しなかったと考えられます。これまでの宇宙にとってダークマターは重要な役割を担ってきたこと、今後の宇宙の運命を握っていることをさまざまな視点でわかりやすく解説。
また、ダークマターは、光で直接見ることができないため、なかなか正体がわかりません。研究者たちはその「見えない」ものをさまざまな手段で検出しようとしています。あることはわかっているのにつかめない、あらゆるアイディアを出しながらつかもうとする、そんな研究者たちのこれまでの研究から最先端の研究まで徹底解説します。

目次

第1部 宇宙と人
 第1章 宇宙は重力で満ちている
 第2章 宇宙は静的ではない
 第3章 宇宙は発展進化している
 第4章 素粒子と宇宙
 第5章 見えないものを見る 
第2部 あるのに見えない「ダークマター」
 第6章 宇宙の階層とダークマターの影
 第7章 1933年の不思議
 第8章 銀河の回転速度の謎
 第9章 ダークマターの存在証拠があらゆるところにでてきた
 第10章 正体はなんだ
 第11章 かつてのダークマター候補たち
 第12章 最有力候補に陰りが?
 第13章 ダークマターのダークホース?
 第14章 尻尾を出さない、見えないダークマター
 第15章 我々はどこにいるのか

著者略歴

著:鈴木 洋一郎
東京大学名誉教授。
1949年生まれ。京都大学理学部卒業。同大学院博士課程修了。ブラウン大学研究助教授、大阪大学助手等を経て、1996年、東京大学教授。2004年から2008年まで東京大学宇宙線研究所所長。2002年から2014年まで東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設長。2007年、数物連携宇宙研究機構の拠点構想責任者、2007年より東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構、2018年まで副機構長、2020年まで特任教授。また、2002年から2014年まで、スーパーカミオカンデ実験代表者、2007年から2016年まで、XMASS実験代表者を務める。
専門は宇宙素粒子物理学。1998年朝日賞、2001年仁科記念賞受賞。スーパーカミオカンデ実験における太陽ニュートリノ観測が高く評価され、2010年ブルーノ・ポンテコルボ賞、2013年ヨーロッパ物理学会コッコーニ賞、2015年に基礎物理ブレークスルー賞受賞。著書に『暗黒物質とは何か』(幻冬舎)ほか。

ISBN:9784065216880
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:272ページ
定価:1000円(本体)
発行年月日:2020年11月
発売日:2020年11月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PGK