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平和と平等の浄土論

真宗伝統教学再考

著:菱木 政晴

紙版

内容紹介

著者が注目するのは、大逆事件で幸徳秋水らとともに死刑判決をうけた真宗大谷派僧侶・高木顕明の親鸞思想解釈である。非戦を唱え、自らが人々を済度する主体となるという顕明の解釈は親鸞思想に沿っているのか。
親鸞思想の重要な要素である「往還二回向」「仏身論」について、戦争協力に積極的であった真宗近代教学ではなく、江戸時代の伝統教学の大家・香月院深励の講義録『註論講苑』に沿いながら、その解釈の歴史を詳解し、顕明の非戦と済度の解釈が親鸞思想に沿ったものであることを明らかにする、著者渾身の浄土論。

目次

第一部 親鸞教学の骨格としての『浄土論註』
 第一章 高木顕明の非戦論の真宗教学的背景
 第二章 香月院『註論講苑』文前玄義の概要
第二部 真宗伝統教学再考──プラグマティズムとしての仏身・仏土論
 第三章 真宗伝統教学再考──高木顕明の還相回向論のルーツを求めて
 第四章 浄土教における仏身論とプラグマティズム
 第五章 プラグマティズムとしての仏身論──神の仮説と方便法身

著者略歴

著:菱木 政晴
1950年金沢市生まれ。宗教学者、真宗大谷派僧侶、元同朋大学特任教授。長年にわたり真宗大谷派の戦争責任を追及すると同時に政教分離訴訟などの平和と人権の市民運動にも関わる。著書に、『浄土真宗の戦争責任』(岩波ブックレット)、『解放の宗教へ』(緑風出版)、『非戦と仏教──「批判原理としての浄土」からの問い』、『市民的自由の危機と宗教──改憲・靖国神社・政教分離』、『ただ念仏して──親鸞・法然からの励まし』、『極楽の人数──高木顕明『余が社会主義』を読む』(以上、白澤社)など。共著に『殉教と殉国と信仰と──死者をたたえるのは誰のためか』(白澤社)。翻訳書に、ホワイトヘッド『観念の冒険』(松嶺社)など。

ISBN:9784768479810
出版社:白澤社
判型:4-6
ページ数:208ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2020年09月
発売日:2020年09月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRFB