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岩波新書

有島武郎

地人論の最果てへ

著:荒木 優太

紙版

内容紹介

土地や血統の宿命からは決して逃れられないと知りつつも、普遍的な個性や愛を信じようとした有島武郎(一八七八—一九二三)。二つの力学が絡み合うなか、『或る女』『カインの末裔』『生れ出づる悩み』などの有島文学は産み落とされた。矛盾に満ちた葛藤の果てに有島が夢見た地平をめざして、その作品と生涯を読み解いていく。

目次

序 世界はやがて一つのミリウに

第一章 二つの地/血から未開地へ

第二章 地球と人種
 第一節 修士論文と二つの地人論
 第二節 『迷路』の人種主義

第三章 愛と伝統主義

第四章 海と資本主義
 第一節 大洋に揉まれて
 第二節 「あいだ」ならぬところ
 第三節 資本家見習い譚としての『カインの末裔』

第五章 生きにくい女たちの群像
 第一節 経済に縛られる女
 第二節 可能性を航海する

第六章 個性以前のもの
 第一節 雷雲めぐり
 第二節 懐郷する芸術を超えて
 第三節 個性を蔽うもの

第七章 継承されてしまう財産
 第一節 習性的生活再考
 第二節 『親子』における士族的なもの

終 章 土くれどもの空
 第一節 すべてを使い果たせ
 第二節 米騒動の前後

あとがき
参考文献

略歴と作品索引

著者略歴

著:荒木 優太
荒木優太(あらき ゆうた)
1987年東京生まれ。在野研究者。専門は有島武郎。明治大学大学院文学研究科日本文学専攻博士前期課程修了。2015年に「反偶然の共生空間──愛と正義のジョン・ロールズ」で第59回群像新人評論賞優秀作受賞。著書に『これからのエリック・ホッファーのために──在野研究者の生と心得』(東京書籍)、『貧しい出版者──政治と文学と紙の屑』(フィルムアート社)、『仮説的偶然文学論──〈触れ─合うこと〉の主題系』(月曜社)、『無責任の新体系──きみはウーティスと言わねばならない』(晶文社)。編著に『在野研究ビギナーズ──勝手にはじめる研究生活』(明石書店)。

ISBN:9784004318491
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:288ページ
定価:880円(本体)
発行年月日:2020年09月
発売日:2020年09月23日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ