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CPCリブレシリーズ 13

格差・貧困の社会史 1

著:庄司 俊作

紙版

内容紹介

不平等と序列社会を超えて。貧困に対する新しい見方で歴史を顧み、高度経済成長の時代に確立する日本の雇用システムと「一億総中流」の根元をさぐる。
今、格差・貧困という視点から日本の歴史と社会はどのように見えるか。日本の雇用システムの形成、展開に伴う日本社会の相貌と変化を1920年代から戦後の高度成長期までのおよそ50年間の階層間の格差・貧困の実相と変化を明らかにし、歴史を動かした民衆の姿を浮き彫りにする。

目次

序章 不平等と序列社会を超えて
1 近現代格差・貧困史の消尽点
2 日本型雇用システムの定義
3 「歴史の消尽点」としての高度経済成長
4 欧米化への流れ

第1章 サラリーマンの登場と新身分社会
はじめに
1 格差・貧困問題の今と昔
(1) 非正規雇用の急増と生涯未婚
(2) 戦前の格差・貧困問題
(3) 近世と近代の類似性と差異
2 昭和初年のサラリーマンと新身分社会
(1) 戦前の普通の生活
(2) サラリーマンと学校歴社会
(3) サラリーマンの「費用対効果」
3 「よそ者」としての職工・女工
(1) 加太こうじの経験
(2) 企業の身分秩序と職工差別
(3) 紡績女工は「よそ者」
4 農民の貧困
(1) 村における大きな格差
(2) 農民の貧困
(3) 資本主義の発展と広範な農外就業
(4) 不利化する農業
おわりに

第2章 戦争と格差・貧困
はじめに
1 物騒な時代と戦争の時代
(1) 呑気な時代
(2) 「窮乏の農村」と暗殺
(3) 戦争と平等
2 戦時下のサラリーマンと職工
(1) サラリーマンの家計
(2) 職工をめぐる戦時下の状況
3 大田区の町工場と工員
(1) 躍進する町工場
(2) ある職人作家の経験
4 戦争と農民
(1) 上向く農家経済
(2) 大内力の戦時下農村ルポ
(3) 増田家の行商経済
5 太平洋戦争下の{革命的状況}
(1)清沢冽と『暗黒日記
(2)「中産階級・知識階級の没落と「革命」
おわりに

第3章 戦後民主主義と高度経済成長の格差・貧困
はじめに
1 サラリーマンと労働組合
(1) 敗戦直後の労働組合と組合幹部
(2) 平等への希求
2 身分制の撤廃と収入平準化
(1) 敗戦直後の身分制撤廃
(2) 高度経済成長直前の状況
(3) 高度経済成長による変化
3 大学の大衆化と格差・貧困
(1) 農民の教育格差と昭和20年代
(2) 大学の大衆化と農家
4 中・高卒の人びとの生活史
(1) もう1つの高度経済成長と格差・貧困
(2) 中学卒業後の生活史
(3) 中卒女子の場合
おわりに

あとがき

引用・参考文献

著者略歴

著:庄司 俊作
1952年生まれ。同志社大学名誉教授。博士(経済学)。
【著作】『近代日本農村社会の展開』(ミネルヴァ書房、1991年)、『日本農地改革史研究』(御茶ノ水書房、1999年)、『近現代日本の農村』(吉川弘文館)、『日本の村落と主体形成』(日本経済評論社、2012)、『国家と農業、農村』(同志社大学人文科学研究所、2017)など。

ISBN:9784908823657
出版社:クロスカルチャー出版
判型:A5
ページ数:180ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2020年07月
発売日:2020年07月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB