講談社学術文庫
英国流 旅の作法 グランド・ツアーから庭園文化まで
著:中島 俊郎
解説:桑木野 幸司
内容紹介
18世紀、古典教養を学ぶため、貴族の子弟や家庭教師がこぞってイタリアへと旅した、「グランド・ツアー」。
フランス革命が始まって海外渡航が難しくなると、今度は湖水地方への国内旅行へとシフトチェンジ、
ガイドブック片手に風景観賞(ピクチャレスク美)で美意識を磨く。
はたまた馬車が流行りだせば、「自らの歩き、詩想を深めるべし」と徒歩旅行が大ブームに。結果、ワ-ズワスはじめ、世界的ロマン派詩人を次々生み出した――。
どんな時代もどんな状況でも、「旅で学ぶ」「旅で成長する」という信念を守り続けた英国人。
彼らは、なぜこれほどまでに旅に焦がれ続けたのか。
旅の効用とは、一体何なのか。
その飽くなき情熱と、彼らが愛してやまない理想郷「田園」の精神的意味を
様々な史料、図版とともに考察する。
学術文庫版解説・桑木野幸司「イタリアが造った英国の風景」
本書は『イギリス的風景 教養の旅から感性の旅へ』(NTT出版 2007年刊)を加筆修正、改題したものです。
目次
目次
序章 <田園>とイギリス人
第一章 <アルカディア>を求めて――グランド・ツアー
1「制度」の誕生
2 旅程と道中
3 旅の誘い
4 旅人の群像
5 あるグランド・ツーリストの肖像
6 旅文化を支える精神的支柱
7 旅の地下水脈――アルカディアの伝統
第二章 風景の誕生――ピクチャレスク・ツアー
1 ピクチャレスク美の誕生
2 ピクチャレスク・ツアーとは何か
3 ピクチャレスク・ツアーへようこそ
4 諷刺されるピクチャレスク――ドクター・シンタックス現象
5 階級社会を映すピクチャレスク
第三章 詩想を求めて田園を歩く――ペデストリアン・ツアー
1 自然が「美しい」という感覚――感性の推移
2 徒歩旅行の出現
3 思索としての徒歩旅行
4 歩くことは詩そのもの
第四章 <イングリッシュネス>を求めて――ロンドン・ツアー
1 繁栄の都市、ロンドン
2 スペイン人の見たロンドン
3 アルカディアの変容――タウン・ガーデン
終章 われ<アルカディア>にあり
学術文庫版あとがきーー「旅文化が生み出したもの」
解説 桑木野幸司「イタリアが造った英国の風景」(大阪大学大学院文学研究科教授)
ISBN:9784065200513
。出版社:講談社
。判型:文庫
。ページ数:296ページ
。定価:1180円(本体)
。発行年月日:2020年07月
。発売日:2020年07月10日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC。