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岩波ジュニア新書 918

議会制民主主義の活かし方

未来を選ぶために

著:糠塚 康江

紙版

内容紹介

議会制民主主義とは、選挙で有権者が代表者を選び、選ばれた者たちが審議・決定したことを政府が実行するシステム、つまり「みんなで決める政治」のこと。有効に機能させるには、投票への参加が重要になる。有権者として今、未来をより良いものにするには、どのように使いこなせばいいのか。その成立過程から見直し、提言する。

目次

プロローグ 若い世代も政治の当事者です
 1.一五歳の涙
 2.少女の怒り
 3.路上で異議を申し立てる若者
 4.主権者は政治の当事者
 5.若者の可能性が未来を変える
 6.本書の構成


第Ⅰ部 歴史から学ぶ議会制民主主義

第1章 生成
 1.議会はどのように生まれたのか
 2.「議会制」と「民主制」の対立
 3.少数者に委ねられた「国民の」政治

第2章 栄光と凋落
 1.選挙権の拡大
 2.「議会制」と「民主制」の接合
 3.議会制民主主義の危機

第3章 日本国憲法における議会制民主主義のメカニズム
 1.日本国憲法の制定
 2.日本国憲法における国会中心主義のメカニズム
 3.日本国憲法の「国民の政治」の性能


第Ⅱ部 有権者の意思表明のツールとしての選挙制度

第4章 メンバーシップとしての選挙権
 1.選挙権と成年
 2.選挙権が保障されていることの意味
 3.棄権は「危険」
 4.一人一票と投票価値の平等

第5章 選挙制度を疑う
 1.衆議院議員の選挙制度
 2.参議院議員の選挙制度
 3.「民意の適確な反映」と女性議員率
 4.多数決が多数意見を尊重する?


第Ⅲ部 議会制民主主義におけるアクター間の相互作用

第6章 有権者はどのように議員を選ぶのか
 1.有権者の政治的リテラシー
 2.選挙運動
 3.マスメディアによる選挙報道

第7章 国会と内閣をめぐるルール
 1.国会の審議
 2.政府行政監視機能
 3.強い内閣—壊れた均衡

第8章 プラットフォームが壊れる
 1.不誠実な答弁
 2.官僚機構のほころび
 3.言論空間の歪み

エピローグ 自分の未来は自分で決める—議会制民主主義を恢復する
 1.「よきにはからえ」で、どうなった?
 2.何が起きているのかを知る
 3.通訳者としての議員
 4.循環プロセスとしての議会制民主主義
 5.政治回路の複線化
 6.「みんなで決める政治」を動かす


エンタメ・読書案内
あとがき

著者略歴

著:糠塚 康江
糠塚康江(ぬかつか やすえ)
1954年、静岡県生まれ。東北大学名誉教授。一橋大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。法学博士(一橋大学)。憲法学専攻。主な著書として、『パリテの論理』(信山社)、『現代代表制と民主主義』(日本評論社)、『フランス憲法入門』(辻村みよ子との共著。三省堂)。編著に『代表制民主主義を再考する――選挙をめぐる三つの問い』(ナカニシヤ出版)。共編著に『社会変動と人権の現代的保障』(信山社)、『女性の参画が政治を変える――補者均等法の活かし方』(信山社)などがある。

ISBN:9784005009183
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:238ページ
定価:880円(本体)
発行年月日:2020年05月
発売日:2020年05月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPH