薬学人のための事例で学ぶ倫理学
編:有田 悦子
編:足立 智孝
内容紹介
薬学を学ぶすべての人のための倫理学のテキスト.生命倫理の基礎から先進医療,医療倫理や研究倫理まで,薬学生に身近な事例を用いてわかりやすく解説.また,様々な場面で薬剤師が直面する倫理的課題をシナリオとして掲載.スモールグループディスカッション形式の学習にも活用可能.「薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)」対応.
目次
【主要目次】
第I部 生命の倫理
第1章 生命・医療倫理学の基礎
1 伝統的医の倫理から新しい生命・医療倫理へ
A 伝統的医の倫理とは
1.医の倫理文書
2.ヒポクラテスの誓い
B 新しい生命・医療倫理
1.非倫理的な医学研究の曝露
2.新しい医療技術の登場
3.生命・医療倫理の四原則
4.新しい生命・医療倫理の特徴
2 「倫理」の基礎
A 倫理とは
1.人間社会の秩序としての倫理
2.道徳と倫理
3.倫理と法
4.倫理と文化
B ルールに着目する倫理学の理論
1.功利主義
2.義務論
3.討議倫理学
C ルール以外の要素に着目する倫理学の理論
1.徳倫理
2.ケアの倫理
3.物語倫理
4.秩序を作るために
第2章 生命の始期をめぐる倫理
1 生殖補助医療
1.生殖補助医療とは
2.生殖補助医療をめぐるさまざまな問題
2 強制不妊手術,出生前検査と着床前診断
1.子どもを持つ権利-リプロダクティブ・ライツ
2.優生思想に関連する各国の法の歴史
3.日本における優生思想と法
4.強制不妊手術と優生保護法
5.出生前検査と優生思想
6.着床前診断(受精卵診断)
7.障碍が受容されにくい社会
第3章 臓器移植の倫理
1 臓器移植とは
1.臓器移植の現状と課題
2.臓器移植法制定後の枠組み
2 臓器移植の実際と倫理的問題
1.亡くなられた人からの臓器移植
2.生きている人からの臓器移植-生体臓器移植
3.臓器移植をめぐる課題
第4章 生命の終期をめぐる倫理
1 安楽死と尊厳死,治療の中止,差し控え
1.人生の終期とは
2.終末期ケアと緩和ケア
3.安楽死をめぐる概念の整理
4.生命の終期をめぐるその他の倫理的問題
2 意思決定プロセスに関する取り組み
1.意思決定の基本原則
2.厚生労働省プロセスガイドライン
第II部 医療の進歩と倫理
第5章 研究倫理の基礎
1 研究倫理の基本的な考え方
A 医療における研究倫理
1.薬学人にとっての研究倫理
2.研究倫理の歴史
B 研究倫理の原則
1.インフォームド・コンセント
2.リスク・ベネフィット評価
3.研究対象者の公正な選択
4.薬学人の使命
2 医療と研究の違い
1.薬学人は活動の場によって役割も異なる
2.医療と研究の目的の違い
3.臨床研究において生じる誤解とその倫理的問題
4.医療と研究のインフォームド・コンセント
5.意思決定に影響を与える医療者-患者関係
6.患者の意思決定支援に役立つコミュニケーション
7.EvidenceとNarrativeの両立を目指す
第6章 臨床研究のルールと手続き
1 臨床研究に関するルールの全体像
1.臨床研究とは
2.臨床研究に関する法律や指針の全体像
2 人を対象とする研究を始めるにあたって知らなければならないこと
1.「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が適用される研究
2.研究を実施する前に行わなければならないこと
3.研究の内容に応じたインフォームド・コンセントの手続き
3 臨床研究に関わる法令
1.省令GCPの概要
2.臨床研究法の概要
第7章 先端医療,革新的な医療と倫理
1 先端医療の概要,ゲノム医療
1.先端医療の概要
2.ゲノム医療とはなにか
3.遺伝医療~生殖細胞のゲノムを利用した医療
4.がんゲノム医療~体細胞のゲノムを利用した医療
2 遺伝子治療
1.遺伝子治療の歴史と課題
2.遺伝子治療臨床研究の規制
3.遺伝子治療や再生医療の医薬品に対する条件および期限付き承認の仕組み
3 再生医療
1.使用する細胞をめぐる倫理的課題
2.iPS細胞を用いる臨床試験と再生医療ビジネスのギャップ
第III部 薬学人としての倫理
第8章 医療者の倫理
1 薬剤師に求められる倫理
1.薬剤師に求められる役割の変化
2.医療倫理の歴史
3.医療におけるインフォームド・コンセント
4.薬剤師として医療倫理を学ぶ必要性
5.医療現場で直面する倫理的問題
6.倫理観を醸成するための教育
2 薬剤師の専門職倫理
A 専門職とは
1.医療専門職
2.専門職の特質
B 薬剤師に関する倫理文書
1.専門職としての倫理文書
2.薬剤師綱領と薬剤師行動規範
第9章 研究者の倫理
1 研究の不正とは井上悠輔
1.科学研究における「不正」の射程
2.日本のガイドライン
3.「薬学」に関連した研究不正の事例
4.「不正」の考え方と限界
2 研究不正を防ぐために
1.研究不正はなぜいけないのか
2.なぜ起きる?~不正が起きるリスク
3.どう防ぐ?~対策を講ずる
第IV部 臨床現場で直面する倫理的問題
I 事例の分析方法
1.倫理事例を検討するための基本的なルール
2.具体的な分析方法
II 事例集
Case1 緩和ケアの鎮静
Case2 対応の優先順位
Case3 在宅医療の問題
Case4 患者尊重の意味
Case5 患者安全の配慮
Case6 疑義照会の義務
Case7 研究参加の勧誘
Case8 臨床研究の目的
本書における薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)対応一覧
索引
ISBN:9784524403646
。出版社:南江堂
。判型:B5
。ページ数:274ページ
。定価:3900円(本体)
。発行年月日:2020年04月
。発売日:2020年03月28日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MB。