出版社を探す

絵画の運命

美しきもの見し人は

著:柴崎 信三

紙版

内容紹介

政治や経済、そして戦争における権謀に巻き込まれて国境を越え、流転を重ねた傑作がある。その、カンバスの裏に隠された履歴を追う。
モデル、モチーフ、時代背景、保護、競売のシステム、メディアの批評など、「美」を取り巻く人々の眼差しがつくった「歴史」。

目次

プロローグ―美はしきもの見し人は 

1 〈流転〉の物語

皇帝溥儀の追放と禁断の名画の帰還―顧閎中『韓煕載夜宴図』
蘇る少年―D・ティントレット『伊東マンショの肖像』
白樺派とバブル期を結ぶ神話―ゴッホ『医師ガシェの肖像』と『ひまわり』
江戸の出版統制と蒐集家フリーア―喜多川歌麿の雪月花
世紀転換期とナチス占領下のウィーン―クリムト『アデーレ・ブロッホ=バウワーの肖像Ⅰ』 
富士という「心」―横山大観『龍躍る』
亡命した聖画―パブロ・ピカソ『ゲルニカ』
洲之内コレクションと戦争の影―海老原喜之助『ポアソニエール』

2 〈人生〉の物語

宮廷画家が欲した徴―ベラスケス『ラス・メニーナス』
二十一世紀の御真影―野田弘志「平成の天皇と皇后の肖像」
三島由紀夫が愛した戦後の迷宮―J・A・ヴァトー『シテール島への船出』
トランプのアメリカを捉えた眼差し―テオドール・シャセリオー『アレクシ・ド・トクヴィル』
画家の逃走劇―カラヴァッジョ『聖マタイの召命』
漱石が讃えた不遇の夭折画家―青木繁『わだつみのいろこの宮』
晩節に蘇った記憶―久隅守景『夕顔棚納涼図屛風』
対岸の青春が映した一葉の哀しみ―鏑木清方『築地明石町』

エピローグ―諜報戦と絵画

著者略歴

著:柴崎 信三
ジャーナリスト。1946年、東京生まれ。1969年、慶応義塾大学法学部政治学科卒業、日本経済新聞社入社。社会部記者、同部次長、文化部長等を経て編集委員兼論説委員。2007年の退社後は獨協大学、白百合女子大学、文化学園大学でメディア、文化、情報社会等を教える。著書に『魯迅の日本 漱石のイギリス』『絵筆のナショナリズム フジタと大観の〈戦争〉』『パトリ〈祖国〉の方へ 一九七〇年の〈日本発見〉』『〈日本的なもの〉とは何か ジャポニスムからクールジャパンへ』等。

ISBN:9784864881944
出版社:幻戯書房
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年03月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFA