人生の1冊の絵本
著:柳田 邦男
内容紹介
こころが何かを求めている時、悲しみのなかにいる時、絵本を開いてみたい。幼き日の感性が、いきものたちの物語が、木々の記憶が、そして祈りの静寂が、そこにはある。世界各地の150冊ほどの絵本を紹介しながら、その深い魅力を綴る。
目次
1 こころの転機
ゆびがなくても、おかあさんになれるんだ
少女のこころの危機と絵の力
疎外された少女に雪解けが
もうひとつのこころの動きが
自己否定が自己肯定に変わる瞬間
障害のある子どもの限りない創造力
何をすることが、いちばんだいじか
なにはともあれ外に出てみよう
2 こころのかたち
人はなぜ学び、なぜ働き、なぜ祈るのか
人は何を求めて旅に出るのか
感性が刺激される逆転劇
光より速い人間の想像力
ずっこけ、でも明日があるさ
ファンタジーはグリーフワークの神髄
ファンタジーの世界で遊ぼうよ
いまひとたびの、あの元気と明るさを
五〇歳からの六歳児感性の再生法
3 子どもの感性
夢のなかで遊ぶ子どもの世界
子ども時代を生きるとは
おさな子が「おにいちゃん」になるとき
子どもが人生への一歩を刻むとき
どろんこのなかの生きる楽しさ
4 無垢な時間
生きものの眼差し、人間の眼差し
どうぶつが生きる、ひとが生きる
いのちを育む鳥の巣讃歌
雪の森はこころを静寂の世界に
無垢な時間を与えてくれる動物たち
冬でも生きている小さないのち
5 笑いも悲しみもあって
なんとなく笑えるって、いい時間だ
不条理な悲しみの深い意味
やっぱりじんとくる純愛物語
童話という語り口の深い味わい
少年が本に魅せられるとき
生きるに値すると思えるとき
6 木は見ている
木は見ている、人の生涯を
木に育まれる人間のこころ
花のいのち、人のいのち、しみじみと
森を守った物語
落ち葉たちの円舞曲
葉っぱの旅、なんと深い感動が……
7 星よ月よ
星は見えない夜もそこにあって
まるい月に目を輝かせる赤ちゃん
強烈な色がひらく異界
静寂のなかの音、のどを潤す冷水
目に見えないものこそ
夢幻の世界にこころ漂わせて
人生の最後の「贈り物」とは
8 祈りの灯
祈りの灯、消えないように、消えないように
亡き人の実存感がこころにストンと
空を翔ける空想家のメッセージ
言葉のない絵本のインパクト
空襲、こころに刻まれるあのこの死
戦争や災害をどう伝えるか
あとがき
登場する絵本索引