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岩波新書

客室乗務員の誕生

「おもてなし」化する日本社会

著:山口 誠

紙版

内容紹介

日本独自の発展を遂げ、就職先として盤石の人気を誇る「C A」(キャビン・アテンダント)。我々はそこにどんな期待を投影してきたのか。エアガール、エアホステス、スチュワーデス……呼称/役割ともに変遷してきた日本の客室乗務員の歴史を通観し、「接客マナー」と「自分磨き」の技法と思考が独特な「おもてなし」の源流となっていく過程を考察する。

目次

はじめに――客室乗務員という日本文化


1章 日本初の「業務」――エアガールの誕生 (一九三一‐四一年)
 1 「客室」と「乗務員」の出現
 2 「空飛ぶ看護師」たちのアメリカ
 3 国策エアガールと嘔吐袋


2章 雲の上の「責務」――着物姿の「客室兵」 (一九五二‐六六年)
 1 敗戦国のスチュワーデス
 2 パンナムと日航
 3 「菊の御紋」の機内サービス
 4 「客室兵」たちの「責務」


3章 低落する「職務」――ジャンボ時代の混迷 (一九六七‐八二年)
 1 「空飛ぶ日本館」のミニスカート
 2 ジャンボジェットという「事件」
 3 「ディスカバー・ジャパン」と鉄道の旅
 4 「アンノン族」は飛行機に乗らない
 5 空港に吹く向かい風


4章 見出された「任務」――接客マナーと「自分磨き」 (一九八三‐九三年)
 1 「訓練センター」と職業意識の高まり
 2 『スチュワーデス物語』の世界
 3 「感性の訓練」という「任務」
 4 「自分磨き」と「自分探し」の時代


5章 相続される「おもてなし」――「CA」の思考 (一九九四‐二〇一二年)
 1 キャビン・アテンダントの誕生
 2 「アルバイト・スチュワーデス」問題
 3 社会沈下と「CA」の浮上
 4 「おもてなし」と品格労働


おわりに――「おもてなし」化する日本社会 (二〇一三‐二〇年)


あとがき

主な引用・参考文献
関連略年表

著者略歴

著:山口 誠
山口 誠(やまぐち まこと)
1973年 東京都生まれ
2002年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了,博士(社会情報学)
現在─獨協大学外国語学部教授
専門─メディア研究,観光研究,歴史社会学
単著─『英語講座の誕生』(講談社,2001年),『グアムと日本人』(岩波新書,2007年),『ニッポンの海外旅行』(ちくま新書,2010年)
共著─『「地球の歩き方」の歩き方』(新潮社,2009 年),『複数の「ヒロシマ」』(青弓社,2012 年),『「知覧」の誕生』(柏書房,2015 年)など

ISBN:9784004318255
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:252ページ
定価:840円(本体)
発行年月日:2020年02月
発売日:2020年02月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNG
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:TRP