日本古代の交易と社会
著:宮川 麻紀
紙版
内容紹介
官僚機構が整備され、多くの人が集まる都城には膨大な物資が必要となる。律令国家はそうした需要を支える流通経済の仕組みをいかにして作り上げたのか。都城の東西市と地方の市に注目し、国家の管理方針の違いを考察。また、交易価格の検討から地方経済の実態を探り出し、支配の担い手を明らかにする。「実物貢納経済」の実像に鋭く迫った注目の書。
目次
序章 研究の視角と本書の構成/律令国家と市(律令制下における市の管理〈律令が規定する市/遷都と市/律令制導入と東西市の創出/地方の市の管理〉/都城と東西市〈日唐令の相違点/坊制と市/時刻制と市/鼓の打法の独自性〉/古代の「店」と都城〈院宮王臣家の「店」/「店」と「廛」との差異/「店」の拡大と規制/「店」の展開〉)/ヤマト王権による開発と交易(六~七世紀の王宮と市〈市と交通路との関連/王宮・ミヤケと市〉/大和国の交易拠点と「宅」〈村屋宅の歴史的意義/丹波宅の再検討〉以下細目略/播磨国揖保郡の開発と交通)/交易価格と地方財政(八世紀における諸国の交易価格と「估価」/九~十世紀の交易価格と地方社会)/古代の社会と流通経済(交易圏の形成と展開/律令国家の財政と流通)/終章 古代社会の変容と交易/主要史料典拠刊本一覧/初出一覧/索引