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大韓民国臨時政府の記憶 Ⅰ

長江日記

ある女性独立運動家の回想録

著:鄭 靖和
訳:姜 信子

紙版

内容紹介

大韓民国臨時政府の設立から100年を迎えたが、その資料は少ない。本書は、臨時政府と国内の独立運動家たちの姿を、生活と運動を共にした女性の目をとおして生々しく描いた回想録であるとともに、臨時政府についての歴史的にも貴重な資料である。

目次

出版にあたって 拙いことを知りつつもすべてを語る言葉[鄭靖和]

1.北に行く夜行列車
2.鴨緑江を越える
3.逮捕
4.一九二〇年代の上海
5.上海脱出
6.燃えあがる中国大陸
7.水の上の亡命政府
8.花灘渓の青き流れ
9.朝鮮義勇隊と光復軍
10.重慶の臨時政府の人びと
11.大陸を濡らした血と涙
12.日本の降伏
13.祖国へ向かう道
14.喜びと悲しみの地
15.民族は分裂し……
16.北から来た人
17.監獄生活
18.明け方の引越し荷造り

母について 時代の呼び声に両手を合わせて[金滋東]

鄭靖和年譜

訳者あとがき 小さな声で語りつがれる人びとの記憶[姜信子]

著者略歴

著:鄭 靖和
1900年、ソウルに生まれる。11歳で大韓協会会長であった金嘉鎭の息子金毅漢と結婚。20歳のとき、先に中国・上海に亡命していた義父と夫のあとを追って上海へ亡命した。義父と夫に仕えながら、独立運動資金を募るために臨時政府密使として地下組織を通じて6回にわたって朝鮮に潜入した。1932年臨時政府要人たち共に上海を脱出、以後1945年に重慶で祖国の解放を迎えるまで13年間、中国の浙江省・江西省・湖南省・四川省の各地を転々とする。その間も、臨時政府要人の生活の世話をしながら、韓国国民党や光復軍創建に関与し、公私ともに臨時政府を支えた。
解放後の翌年1946年にようやく難民として祖国に帰還。しかし、南北分断と朝鮮戦争に巻き込まれ、夫が北朝鮮に連れ去られたばかりか、彼女も戦時戒厳下の附逆(国家反逆)罪で投獄された。
その後、彼女は祖国とみずからが辿った100年近い苦難の歳月のすべてを書き残すと、1991年に恨多き生涯を閉じた。
訳:姜 信子
1961年、神奈川県生まれ。著書に『棄郷ノート』(作品社)、『ノレ・ノスタルギーヤ』、『日韓音楽ノート』『イリオモテ』(岩波書店)、『生きとし生ける空白の物語』(港の人)、『声 千年先に届くほどに』『現代説経集』(ぷねうま舎)、『平成山椒太夫 あんじゅ、あんじゅ、さまよい安寿』(せりか書房)など多数。訳書に、李清俊『あなたたちの天国』(みすず書房)、カニー・カン『遥かなる静けき朝の国』(青山出版社)、ピョン・ヘヨン『モンスーン』(白水社)など。編著に『死ぬふりだけでやめとけや 谺雄二詩文集』(みすず書房)、『金石範評論集』(明石書店)など。2017年、『声 千年先に届くほどに』で鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。

ISBN:9784750349541
出版社:明石書店
判型:4-6
ページ数:372ページ
価格:3600円(本体)
発行年月日:2020年01月
発売日:2020年01月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNB