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人は、なぜ他人を許せないのか?

著:中野 信子

紙版

内容紹介

炎上、不謹慎狩り、不倫叩き、ハラスメント…

世の中に渦巻く「許せない」感情の暴走は、
脳の構造が引き起こしていた!

人の脳は、裏切り者や社会のルールから外れた人など、わかりやすい攻撃対象を見つけ、
罰することに快感を覚えるようにできています。
この快楽にはまってしまうと、簡単には抜け出せなくなり、罰する対象を常に探し求め、
決して人を許せないようになってしまいます。

著者は、この状態を正義に溺れてしまった中毒状態、「正義中毒」と呼んでいます。
これは、脳に備わっている仕組みであるため、誰しもが陥ってしまう可能性があるのです。

他人の過ちを糾弾し、ひとときの快楽を得られたとしても、日々誰かの言動にイライラし、必要以上の怒りや憎しみを感じながら生きるのは、苦しいことです。

本書では、「人を許せない」という感情がどのように生まれるのか、その発露の仕組みを脳科学の観点から解き明かしていきます。
「なぜ私は、私の脳は、許せないと思ってしまうのか」を知ることにより、自分や自分と異なる他者を理解し、心穏やかに生きるヒントを探っていきます。

目次

○第1章 ネット時代の「正義」―他人をつるし上げる悦び
・SNSが隠れていた争いを「見える化」した
・著名人にとってSNSは諸刃の剣
    ・自分と異なるものをバカにしあう不毛な社会
    ・炎上ビジネスに踊らされる正義中毒者たち
    ・多様性を狭めた集団は滅亡に向かう …他

○第2章 日本社会の特殊性と「正義」の関係
    ・愚かさの基準は国によって大きく異なる
    ・日本は「優秀な愚か者」の国
    ・自然災害と閉鎖的環境が日本人の社会性を高めた?
    ・個人の意志よりも集団の目的が優先される
    ・「よそ者」は信用しない日本人 …他

○第3章 なぜ、人は人を許せなくなってしまうのか
    ・人間の脳は、対立するようにできている
    ・人は、なぜいとも簡単に他人を憎むのか
    ・不一致ゆえに惹かれ合い憎み合う人々
    ・どんな天才も近付けば「ただの人」
    ・集団の持続こそが正義 …他

○第4章 「正義中毒」から自分を解放する
    ・「許せない」をコントロールし、穏やかに生きるには
    ・「なぜ、許せないのか?」を客観的に考える
    ・「昔は良かった」」は、脳の衰えのサイン
    ・脳の成人年齢は30歳
    ・脳は経験で進化できる …他

著者略歴

著:中野 信子
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。現在、東日本国際大学教授。著書に『世界で活躍する脳科学者が教える!世界で通用する人がいつもやっていること』『脳はなんで気持ちいいことをやめられないの?』(アスコム)、『サイコパス』『不倫』(文藝春秋)、『シャーデンフロイデ』(幻冬舎)、『キレる!』(小学館)など多数。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。

ISBN:9784776210269
出版社:アスコム
判型:新書
ページ数:226ページ
定価:1200円(本体)
発行年月日:2020年01月
発売日:2020年01月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD