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法律家のための登山・スキー事故Q&A 法的責任と損害賠償請求

著:辻 次郎

紙版

内容紹介

◆事実関係が不明確になりがちで、理解や判断が難しい登山・スキー等事故の裁判例を
パターン毎に細分化し、法律構成、法律的・事実的な主張のしかた、
訴状記載例と注意点等を、体系的に解説した稀有の書!
◆巻末に、実務に役立つ「判例整理表」付き!
◆損害賠償請求訴訟を起こせるかどうかの検討にも役立つ!

本書は、登山事故・スキー(スノーボード等を含む)事故について、
どのような事態なら過失といえるか(法的責任を問えるか)、
できる限りその基準を明らかにして、
損害賠償請求できるか否かを検討するための材料を提供する。
調停や訴訟で解決ということになった場合に、誰を相手に、
どのように主張するのがよいのか、訴状はどのように書けばよいのか等について、
主として弁護士等の専門家向けに解説している。
なお、「Q&A」の冒頭の解答をみれば、
訴訟となった場合の一応の結論がわかるように書いてあり、
一般の方(登山者、スキーヤー、スノーボーダー、ツアー主催団体・企業、学校関係者等)にも参考となる。

目次

◎序

◎登山事故編
登山事故総論
登山事故Q&A(ツアー型、自主型・訓練型、学校事故、その他民事、刑事)
登山事故判例の解説

◎スキー等事故編
スキー等事故総論
スキー等事故Q&A(スキーヤー対スキーヤー、スノーボーダー対スキーヤー、スノーボーダー対スノーボーダー、人対物など、・刑事)
スキー等事故判例の解説

◎付録:判例整理表

目次


(1)登山事故は増加傾向
(2)スキー等事故の請求認容額は高額になりやすい
(3)登山・スキー等事故の難しさ
① 登山・スキー等事故の理解・判断が意外と難しい理由
② 本書執筆の動機等

登山事故編
登山事故 総論
1 山岳遭難の件数等
(1)山岳遭難は増加傾向
(2)登山の形態
2 登山事故の分類、法律構成
3 過 失
(1)裁判実務の考え方
(2)注意義務の程度
(3)グループの形態による責任の相違
① 中学の課外活動・高校・高専山岳部の学校行事としての登山
② 大学山岳部の登山
③ 旅行会社等の企画する登山ツアー
④ 国、県が主催する訓練・研修登山
⑤ 社会人山岳会
⑥ 個人的愛好者のグループ山行
(4)過失の具体的内容
4 過失相殺
(1)全免は不可
(2)登山ツアー
(3)学校登山
(4)訓練・研修登山
(5)社会人山岳会、個人的愛好者のグループなど
5 損 害
6 登山事故のための保険
(1)登山事故の原因
(2)警察、消防、民間による救助
(3)保険の必要性
(4)救援者費用に関する保険
① 傷害保険の特約が存在する場合
② ①以外の山岳保険(登山保険)
7 裁判をするかどうかの検討

登山事故Q&A
第 1 ツアー型(民事)
認容例
Q&A1(雪道斜面を転落して死亡)訴状記載例
Q&A2(強風及び吹雪の中、低体温症により死亡)訴状記載例
棄却例
Q&A3(海外登山全指喪失事件)
第 2 自主型・訓練型(民事)
認容例
Q&A4(岩登り練習転落事件)
Q&A5(雪崩死亡事故 2 件)訴状記載例
Q&A6(消防士耐寒訓練事件)
第 3 学校事故(民事)
認容例
Q&A7(学校事故、雪崩遭難)
Q&A8(学校事故、市立中学生の転落事故)
Q&A9(県立高校生熱射病死亡事件)訴状記載例
棄却例
Q&A10(府立高校生が川を渡る途中転倒死亡)
Q&A11(私立高校生落石死亡事件)
Q&A12(国立大学医学部山岳部滑落死亡事件)
第 4 その他(民事)
認容例
Q&A13(積丹岳山岳救助隊救助失敗事件)
Q&A14(西沢渓谷転落死亡事件外)
Q&A15(美の山公園小学生転落死亡事件)訴状記載例
第 5 登山関係刑事事件
Q&A16(刑事事件)
(1)登山事故の刑事判決
(2)少ない登山事故刑事判決
(3)検察官の起訴方法の変化
(4) 登山事故における法人の責任

① 会社の場合
② 学校の場合
(5)刑事判例の解説

登山事故判例の解説
1 民事判例の法律構成
(1)ツアー型などの法律構成
(2)その他の事件の法律構成
2 過失等
(1)判例の基準(民事)
① ツアー型などの過失の検討
② その他の事件の瑕疵等
(2)検 討
(3)過失の抽象的基準
(4)過失の具体的内容
グループの形態による責任の相違
刑事事件の過失

スキー等事故 編
スキー等事故 総論
1 スキー等事故の傾向
2 衝突事故の滑走者の責任(人対人の事故)〔Q&A1〜6参照〕
(1)原告・被害者が主張すべき事項
(2)原告・被害者の主張に対する被告・加害者の主張・反論
(3)スノーボードの特性
(4)過失・上方者(通常は加害者・被告)
(5)下方者(通常は被害者・原告)
(6)使用者責任(民法 715 条)
(7)過失相殺
(8)正当行為、危険引受、被害者の承諾の理論
3 人対物の衝突など・施設管理者(民法 717 条 1 項、709 条、債務不履行責任)
(1)土地の工作物責任(民法 717 条 1 項、国賠法 2 条 1 項)
① 要件事実
② 土地の工作物
③ 瑕 疵
(2)一般不法行為(民法 709 条)、安全配慮義務違反
(3) 過失相殺
4 スキー事故のための保険
① 国内旅行保険か、スポーツ傷害保険か
② 自動車保険や火災保険の特約
5 刑事責任

スキー等事故Q&A
第1 人対人
(1)スキーヤー対スキーヤー(Q&A1~3、判例1~7)
認容例
Q&A1(ジャンプしてきたスキーヤーに衝突されたもの)訴状記載例
棄却例
Q&A2(暴走してコントロール不能になったスキーヤーが衝突して死亡)
請求が認められるか微妙なもの
Q&A3(上方から来たスキーヤーに衝突されたもの)訴状記載例
(2)スノーボーダー対スキーヤー(Q&A4、判例8~13)
認容例
Q&A4(上方から来たスノーボーダーに衝突されたもの)
(3)スノーボーダー対スノーボーダー(Q&A5、6、判例 14 ~ 16
認容例
Q&A5(ジャンプしてきたスノーボーダーに衝突されたもの)訴状記載例
Q&A6(スノーボードクロス競技中に衝突)訴状記載例
第 2 人対物の衝突など
認容例
Q&A7(隠れた岩にスキー板を引っかけて転倒)訴状記載例
Q&A8(スキーでスキー場の照明燈支柱に衝突)訴状記載例
棄却例
Q&A9(スキーで滑走禁止区域を滑走中、雪崩で死亡)
Q&A10(そりで滑走中、リフトの鉄柱に衝突)
Q&A11(バックカントリースキー中の事故)
認容例
Q&A12(スキー教室でのそり転落死亡事故)訴状記載例
第3 スキー関係刑事事件
Q&A13(スキー関係刑事事件)
(1)刑事事件判例
(2)判例の紹介

スキー等事故判例の解説
1 法律構成
(1) 法律構成(人と人の衝突事故事件)
(2) 法律構成(人と物との衝突事件)
(3)スキー事故刑事事件
2 スキーヤーの過失
(1)直接の相手方(加害者)の過失、判例の抽象的過失の基準
① 過失の抽象的基準があらわれている判例
② 抽象的過失とは何か
(2)過失の具体的内容、判断要素
① スキーヤーの過失
② 注意義務の内容
③ 過失の具体的検討事項
④ 過失の有無の判断
3 スキー場開設者等の懈怠・過失、スキー場の瑕疵
(1)民法 709 条、判例の抽象的過失の基準
(2)民法 717 条 1 項(国賠法 2 条 1 項)、判例のいう瑕疵
① 最高裁判決
② 瑕疵とは何か
(3)スキー場の瑕疵、管理者の過失の具体的検討事項
① 管理者のとるべき措置
② 瑕疵の具体的検討要素
③ 検 討
4 過失相殺の基準
(1)過失相殺における過失
(2)判例の過失相殺の基準
(3)過失相殺と危険引受理論
(4)過失相殺の具体的検討事項
(5)過失相殺と自己過失
① 全免は不可
② 自己過失は棄却
5 正当行為、危険引受、被害者の承諾の理論
(1)スポーツと違法性阻却事由
(2)参考判例
① 正当行為論(危険引受あるいは加害行為承諾の理論)について判断されたスキー事故判例
② スキー事故判例と危険引受等
(3)その他の参考判例
① その他のスポーツ事故と危険引受等
② 無過失の判断
(4)検 討
6 まとめ(結論)
判例整理表
◎ 登山事故判例
◎ スキー等事故判例
【索引】

ISBN:9784539727133
出版社:日本法令
判型:A5
ページ数:344ページ
定価:3900円(本体)
発行年月日:2019年12月
発売日:2020年01月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:SZ