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いま、解読する戦後ジャーナリズム秘史

著:柴山 哲也

紙版

内容紹介

今だから読み解ける、今だから開封できる事実がある。戦後の社会を動かす事件、そのジャーナリズム史はそのまま戦後史へとつながる。本書は、長年ジャーナリストとして事件に関わり、その内部を知った著者による戦後ジャーナリズム史である。事件の経緯、その内実を明かした後、その事件がいかに現代の社会につながっているのかを読み解いていく。事件に向き合うことによって、新たな戦後史を提示する。

目次

序 戦後の「自由と民主主義」は進化したか

第1章 敗戦直後の日本の言論と新憲法発布
 1 GHQ占領下の言論表現の自由と検閲
 2 「国民総懺悔」を誘導した新聞
 3 原爆報道と新聞の「自主規制」
 4 米ソ核戦略のトップシークレットと原爆投下
 5 新憲法日本側草案の『毎日新聞』スクープ
 6 三笠宮の「戦争放棄支持」発言

第2章 憲法改正論の台頭
 1 約10年後の「憲法九条」
 2 憲法改正への動きが加速した平成時代
 3 「憲法記念日」を狙った記者射殺の言論テロ
 4 改憲に否定的な米国の安保問題専門家

第3章 ビキニ環礁で被曝した第五福竜丸
 1 日本人三度目の被曝
 2 ビキニ環礁のあるマーシャル諸島取材の旅
 3 ブラボーショットで被曝した原住民たち

第4章 文化大革命の後遺症と闘った中国
 1 文革直後の荒廃と混乱、貧しかった北京と上海
 2 世界の若者に影響を与えた「造反有理」
 3 元紅衛兵だった作家の記録
 4 日本の司法制度を導入した中国
 5 中国の発展を支えた大学と人材の育成
 6 天津と北京で実感した中国の躍進

第5章 ベトナム戦争がメディアを変えた
 1 新聞の金字塔、第四権力論の誕生
 2 「第四の権力」の形成とウォーターゲート事件
 3 日本人ジャーナリストのベトナム戦争報道とその遺産

第6章 外務省機密漏洩・西山事件が隠した沖縄基地の真実
 1 西山事件の発端
 2 西山記者の“私行”にすり替えられた機密の中身
 3 沖縄人の心に届かなかった西山事件
 4 翁長知事の遺志継いだ新知事の沖縄
 5 佐藤首相が約束した「核抜き本土並み」の実態
 6 辺野古移設、深まった琉球ナショナリズムと本土の闘い

第7章 まだ拉致問題が知られてなかった北朝鮮
 1 国交がない国、北朝鮮渡航専用パスポート
 2 横田めぐみさん似の少女の記憶
 3 小泉首相電撃訪朝で金正日主席は拉致を認めた
 4 朝鮮半島第一次核危機の教訓

第8章 湾岸戦争からイラク戦争へ
 1 CNNを通じたアメリカの宣戦布告
 2 メディアを使ったクリーンな戦争か
 3 エンベッド取材で失われた戦場の真実
 4 テロ撲滅と言論の自由
 5 イラク戦争、経験の蓄積がなかった日本の戦争報道

第9章 細川政権誕生時の椿事件が語るテレビへの圧力
 1 『産経新聞』がスクープした「椿事件」の真相
 2 放送の自由と政治権力のバランスが崩れる
 3 メディアのクロスオーナーシップの規制
 4 電波制度改革への諸課題

第10章 オウム真理教と松本サリン事件
 1 マスコミが作り出した「河野氏犯人説」
 2 「TBSは今日、死んだに等しいと思います」
 3 アトランタ五輪公園の爆破事件

第11章 阪神・淡路大震災から東日本大震災へ
 1 阪神・淡路大震災の報道
 2 東日本大震災、1000年ごとに襲ってくる大津波
 3 死への直面を避ける日本の報道
 4 大災害が生んだ新しいメディアとSNS
 5 阪神・淡路大震災から何が変わったか
 6 マスコミを動員した原発導入と安全神話の形成
 7 世界最大の原発事故と国際的認識の欠如

第12章 小泉ポピュリズム政治の誕生
 1 政治記者からテレビの茶の間の話題へ
 2 テレビはジャーナリズムか
 3 欧米のジャーナリズム研究・教育レベルと日本の格差
 4 日本型「公共圏」の変動
 5 東欧革命、ベルリンの壁崩壊を促した西側のテレビ中継
 6 ニュースは視聴率を稼げる

参考文献
あとがき
人名・事項索引

著者略歴

著:柴山 哲也
2020年1月現在
メディアジャーナリスト

ISBN:9784623086689
出版社:ミネルヴァ書房
判型:4-6
ページ数:344ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2020年01月
発売日:2020年01月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNTP2