NHK出版新書 611
高校世界史でわかる 科学史の核心
著:小山 慶太
内容紹介
歴史は発見で変転する。
近現代を形づくった、偶然と必然の科学史入門!
ニュートンが大科学者たり得たのはなぜ? どうしてフランス革命時に諸科学が勃興した? 量子力学は歴史の偶然で生まれた? 国家の野心と研究者の探求が重なるところに、歴史の転機は訪れる。近現代史を陰で動かした諸科学の営みとそのダイナミズムを、文理の壁を超えてやさしく語る、あたらしい科学史入門。
第1章 イギリス王政復古と「学会」創設
──ニュートンはなぜ大科学者たり得たか
第2章 フランス革命と化学革命
──なぜ諸科学は動乱期に基礎づけられたか
第3章 普仏戦争と「量子仮説」
──量子力学は製鉄業から生まれた?
第4章 世界大戦と核物理学
──真理の探究はいかに歴史に巻き込まれたか
第5章 変貌する現代科学
──巨大科学は国家を超える
目次
まえがき──科学史への誘い
第1章 イギリス王政復古と「学会」創設
──ニュートンはなぜ大科学者たり得たか
東の“算聖”、西の“算聖”
ピューリタン革命下に生まれたニュートン
国王チャールズ二世と王立協会の創設
ペストとニュートンの創造性の爆発
『哲学会報』という世紀の発明
学術雑誌の役割
太陽王ルイ一四世とチャールズ二世
顕微鏡学者レーウェンフックと画家フェルメール
グリニッジ天文台の設立
ロンドンのコーヒーハウス
ニュートンの『プリンキピア』
ペティの『政治算術』
名誉革命とニュートン
ナイトに叙せられたニュートン
ハレー彗星
外交官、宮廷顧問官としてのライプニッツ
ニュートンとライプニッツの戦い
ニュートンの死
ニュートン力学とフランス
第2章 フランス革命と化学革命
──なぜ諸科学は動乱期に基礎づけられたか
ダランベールに宛てたラプラスの手紙
“力学神授説”を打ち砕いたラプラス
ナポレオン時代のフランス
ラグランジュの『解析力学』
微分方程式の美学
フランス革命の一〇年
ギロチンの登場
錬金術から近代科学へ
ラヴォアジエの『化学原論』
徴税請負人の“幸福な一日”
断頭台に送られた大化学者
メートル法の制定
エコール・ポリテクニクの創設
エコール・ポリテクニクの卒業生
カルノーと熱力学
科学研究の中心の移動
第3章 普仏戦争と「量子仮説」
──量子力学は製鉄業から生まれた?
コークスによる製鉄
蒸気機関と産業革命
アメリカ合衆国の誕生
ランフォード伯爵と熱の運動説
神聖ローマ帝国の崩壊とドイツ統一
ドーデ「最後の授業」
熱放射と高温測定
ベルリンの物理工学国立研究所の創設
一九世紀物理学を覆う暗雲
プランクが唱えた掟破りの仮説
アインシュタインが愛したスイス
アインシュタインの光量子仮説
ミクロの世界への探訪
“風が吹けば桶屋が儲かる”
量子力学をつくった若手の活躍
第4章 世界大戦と核物理学
──真理の探究はいかに歴史に巻き込まれたか
“ヨーロッパの火薬庫”と第一次世界大戦
毒ガスの開発
“天使”と“悪魔”
戦死したノーベル賞化学者
もっとも美しい実験結果──モーズリーの法則
チャーチルとムスタファ=ケマル
チャーチルのノーベル文学賞
第一次世界大戦と一般相対性理論
ブラックホールと膨張宇宙
ヒトラーと第二次世界大戦
ファシズムと科学者の亡命
奇妙で不気味な偶然の一致──一九三八年
原子核物理学の発展
核分裂の発見と女性科学者
ノーベル賞授賞式からの亡命
原子炉と原子爆弾
世界大戦の遺産
第5章 変貌する現代科学──巨大科学は国家を超える
ラッセル=アインシュタイン宣言
核融合炉開発への取り組み
国際宇宙ステーションの運営
素粒子実験装置の巨大化
ブラックホールの撮影と国際ネットワーク
ニュートンが遺した図と現代科学
あとがき
世界史・科学史比較年表