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逃避型ネット依存の社会心理

著:大野 志郎

紙版

内容紹介

インターネットへの依存を生じさせるものとは。先行研究で指摘された多様な要因の整理を行い、「逃避」に焦点をあて新たにモデル化。

質的調査・量的調査をもとに、心理的ストレス要因とネット依存傾向をネット逃避が媒介し、その結果として、現実生活における実害が生じていることを指摘する。またネット逃避の抑制のためにストレスへの正しい対処手法を青少年に身につけさせることが、ネット依存問題への非常に有効な予防策となり得ることを示す。

目次

はじめに

第一章 インターネット依存研究のこれまで
 1.1 1990年代:チャット依存
 1.2 2000年代:オンラインゲーム依存,SNS依存
 1.3 青少年の情報行動
 1.4 インターネット依存の呼称
 1.5 インターネット依存の定義
 1.6 インターネット依存の診断基準
 1.7 インターネット依存の構成要素

第二章 インターネット依存の影響
 2.1 国外のインターネット依存有病率
 2.2 国内のインターネット依存有病率
 2.3 オンラインゲーム依存の有病率
 2.4 性別,年齢,居住地域,世帯年収とインターネット依存
 2.5 インターネットの使用状況とインターネット依存
 2.6 生活満足,対人関係とインターネット依存
 2.7 心理傾向とインターネット依存
 2.8 精神的・身体的症状とインターネット依存

第三章 インターネット使用の実害
 3.1 2002年EverQuest
 3.2 オンラインゲームと死亡事故
 3.3 中学生のインターネット使用による実害の実態

第四章 インターネット依存傾向者の実態
 4.1 2010年グループインタビュー
 4.2 アプリケーションの種類による群分けと分析
 4.3 インターネットの使用動機,きっかけによる比較
 4.4 インターネット使用時の状況
 4.5 依存状況および症状
 4.6 依存傾向からの回復
 4.7 3タイプの依存プロセス

第五章 逃避型ネット使用の現状
 5.1 逃避型ネット使用
 5.2 逃避とインターネット依存との関係
 5.3 逃避型ネット使用の臨床例
 5.4 グループインタビューに見る逃避型ネット使用
 5.5 青少年の逃避型ネット使用問題の量的調査による検証

第六章 逃避型インターネット依存モデル
 6.1 逃避型ネット使用とインターネット依存との弁別
 6.2 逃避型ネット使用から依存へと至るモデル
 6.3 インターネット依存と実害との弁別
 6.4 逃避型インターネット依存モデル
 6.5 インターネット依存因子の構造化

第七章 逃避はストレスと依存を結びつけるか
 7.1 逃避型ネット使用,潜在的ネット依存傾向,実害の相関分析
 7.2 逃避型ネット使用と関連する心理的ストレス要因の検討
 7.3 逃避型ネット使用が潜在的ネット依存傾向と関連する程度の検討
 7.4 逃避型インターネット依存モデルの検証

第八章 逃避型ネット使用による依存形成について考える
 8.1 なぜ逃避が媒介変数となるのか
 8.2 なぜインターネット使用が心理的報酬となるのか
 8.3 どのような場合にインターネット依存に結びつくのか
 8.4 逃避型インターネット依存と嗜好型インターネット依存

おわりに
謝 辞
参考文献
索 引

著者略歴

著:大野 志郎
大野 志郎(おおの しろう) 
東京大学大学院情報学環助教。博士(社会情報学)(東京大学)。2013年,東京大学大学院学際情報学府を満期退学。学習院大学助教,立教女学院短期大学助教を経て,2018年より現職。専門は社会情報学,社会心理学,情報教育・情報行動。

ISBN:9784326251384
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:224ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2020年01月
発売日:2020年01月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF