精神障害と人権
社会のレジリエンスが試される
著:横藤田 誠
内容紹介
精神障害者がおかれている現況について人権の観点から考察し、その争点となる法的および社会的対応とその意義と限界を考察する。精神障害者の人権が保障され、他者と共生できる社会像を模索していく過程では、常に社会の「レジリエンス」が試されることも明示する。
目次
はしがき
◆第Ⅰ部 精神障害者と人権
第1章 精神障害者問題に対する社会の視線
1 精神障害者に対する人々の視線
2 精神障害者処遇の過去(精神科医療関係法規の歴史)
3 精神科医療に対する法規制の特徴
コラム① 本書執筆の契機―障害者として
第2章 強制医療システムと人権
1 精神障害者になぜ人権が保障されてこなかったのか?
2 非自発入院の正当性は疑わしい?
3 非自発入院の正当化根拠―アメリカの展開
4 精神障害者のみの非自発入院の正当化根拠
5 非自発入院の正当性を支える要素
コラム② 本書執筆の契機―憲法研究者として
第3章 精神保健福祉法と人権
1 関係する権利
2 入院形態
3 精神科医療と家族―保護者制度
4 入院後の処遇―面会・通信,隔離・身体拘束
コラム③ 身体障害者からみた精神障害
第4章 障害者の人権―その普遍性と特殊性
1 希望としての「人権」
2 「強い個人」論の隘路
3 障害者の人権の位置づけ―普遍性と特殊性
4 不利な立場の人々の視線からみえるもの
コラム④ 法・人権の意義と限界
◆第Ⅱ部 精神障害と社会の諸相
第5章 精神障害と犯罪
1 精神障害者は危険か?
2 刑事司法における「能力」
3 責任能力をめぐる論争
4 犯罪を行った精神障害者の処遇
5 犯罪を行った精神障害者に対する司法福祉
コラム⑤ 障害者差別に対して私たちにできること
第6章 精神障害者と社会―「施設コンフリクト」をめぐって
1 施設コンフリクト―現状と構造
2 施設コンフリクトと法
3 事例から考える
4 解決に向けて―社会のレジリエンスとしての人権