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レジリエンスを育む

ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒

著:キャシー・L・ケイン
著:ステファン・J・テレール
他訳:花丘 ちぐさ

紙版

内容紹介

「古い地図が間違っているかどうかを問う必要はない。新しい地図のほうが、人生を探求する時に役に立つ、新しい選択肢を提供してくれるのだ」成人期に発症し「ストレス性」「自律神経の問題」「原因がわからない」と言われてきた様々な疾病は、幼児期の 心の傷=発達性トラウマが原因だった。愛着の問題となって現れる心の傷=発達性トラウマ生成の仕組みを明らかにし、クライアントの回復=レジリエンスを促進するために臨床家が行う、調整の方法を、神経系の最新メカニズム「ポリヴェーガル理論」をもとに説明した、日本初の解説書!

目次

賛辞
『レジリエンスを育む』に寄せて ピーター・A・ラヴィーン
謝辞
序文

Part1 発達性トラウマの理解
生まれたときは健全であるのに、やがて損なわれていくもの
第1章 関係性が発達するための基盤
安全と愛着/協働調整/つながり

第2章 「安全である」ことを知る
内受容感覚/外受容感覚/ニューロセプション/ナラティブの形成

第3章 健全な発達が阻まれるとき
エピジェネティクス/周産期トラウマ/不健全な愛着/ニューロセプションが頼りにならないとき/内受容の機能不全/他者理解や社会的交流の困難さ

第4章 調整とつながりのための神経基盤
ポリヴェーガル理論と発達性トラウマ/腹側迷走神経系/背側迷走神経系/生き残るための対価と生理学的バランス

第5章 発達性トラウマの副作用
基本構造の調整不全/生き残りをかけた生理学的反応が暴走するとき/統制場/防衛的適応/防衛的適応としての身体管理戦略

Part2 調整とレジリエンス
発達トラウマの発見と修復
第6章 逆境的小児期体験(ACE)の影響
逆境的小児期体験(ACE)研究/大人になってからの発達性トラウマの身体的影響/一般的な身体症状と反応/子どもたちに見られる発達性トラウマの影響/トラウマスペクトラム障害

第7章 「耐性の窓」と「偽りの耐性の窓」
ローカス・オブ・コントロール(LOC)/「偽りの耐性の窓」/ストレスに対処する能力を築き、「耐性の窓」を拡張する背側迷走神経系の生理学的機能に働きかける/さらに正確な内受容感覚を築く

第8章 トラウマ地図:発達性トラウマのナラティブ
言語的ナラティブ/身体的ナラティブ/言語的ナラティブと身体的ナラティブの関係を理解する/「トラウマ地図」:生理と行動/神経系の発達の視点からナラティブを見る/愛着:防衛的適応と行動システム/「ソマティックな恥」/「ソマティックな恥」に働きかける

第9章 新しい地図を創る:「調整!」「調整!」そして「調整!」
「調整」について:臨床家、臨床の環境、そして予測性/「調整」の生理学的反応/「調整」という文脈の中で、行動を考える/社会的交流という「調整」に向けて/「調整」とレジリエンス/ナラティブ:新しい「調整」の地図

第10章 タッチの役割
初期の発達におけるタッチの役割/発達性トラウマに働きかける際の身体的アプローチと治療的タッチの技法
「調整」をサポートする

第11章 戦略と道筋
治療戦略/治療的タッチと「調整」/アプガースコア/カプリング力学/完了への働きかけ/安定した愛着に向けて/ソマティックな転移とソマティックな逆転移/レジリエンスを育む

訳者あとがき
索引

著者略歴

他訳:花丘 ちぐさ
公認心理師、専門健康心理士、ソマティック・エクスペリエンシングR・プラクティショナー。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業,米国ミシガン州立大学大学院人類学専攻修士課程修了。桜美林大学大学院心理学研究科健康心理学専攻修士課程修了。A級英語同時通訳者。キャシー・ケインの「トラウマセラピストのためのタッチスキル・トレーニング」修了。ステファン・テレール博士の「愛着の傷を癒すタッチスキル・トレーニング」修了。「国際メンタルフィットネス研究所」代表。ソマティック心理学関連の海外講師を招へいして様々なトレーニングを主催している。翻訳書にP・ラヴィーン著『トラウマと記憶』(春秋社 2017年),S・ポージェス著『ポリヴェーガル理論』(春秋社 2018年)がある。

ISBN:9784753311606
出版社:岩崎学術出版社
判型:4-6
ページ数:416ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2019年12月
発売日:2019年12月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ