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柄谷行人と韓国文学

著:ジョ・ヨンイル

紙版

内容紹介

韓国に翻訳紹介されるや大きな衝撃を与えた柄谷行人の「近代文学の終り」。理念的優越性を失った文学に終焉を告げた「近代文学の終り」は、その再生産に携わる者たち──文壇、大学、版元からなる文学システム──にさまざまな反撥とすれ違いを生んだ。本書は、創作と批評、教育と出版を取り巻く文学生産システムを俎上に載せ、文学の真の敵を撃つ果敢な文芸批評であり、また1980年代以来の、柄谷行人の韓国文学との交通・交流を丹念に調べあげつつ展開される優れた柄谷行人論です。

目次

目次

日本語版への序文



序文



第一章 文学の終焉と若干の躊躇い

一 文芸創作科の躍進と文学をやめた者たち

二  近代文学の起源と近代文学以後の文学

三 批評の躊躇い─予感することと宣言すること

四 近代批評の特質とその存在様式

五 制度と批評─批評家の必須条件

六 反復としての文学─純粋批評の誕生



第二章 「文学の終焉」をいかにして耐えるか

一 危機か、それともチャンスか

二 韓国文学の生存法

三 村上春樹という問題

四 批評という両刃の刀



第三章 批評の運命─柄谷行人と黄鍾淵

一 「柄谷行人」という亡霊

二 近代文学以後の文学

三 芸術の終焉または芸術の解放

四 「文学の終焉」と「芸術の終焉」

五 動物化する人間─コジェーヴの「終焉論」分析

六 批評の終焉または批評の転回

七 賭けとしての批評とその運命



第四章 批評の老年─柄谷行人と白楽晴

一 終焉か、価値=甲斐か

二 柄谷行人と韓国文学との出会い

三 「終焉」を前にして─白楽晴と黄鍾淵

四 批評の出会い─『文学と知性』から『創作と批評』へ

五 韓国文学と日本文学の出会い─金炳翼の観点から

六 批評の衝突A─「文学」をめぐって

七 批評の衝突B─「民族(nation)」をめぐって

八 批評の終焉─文学の敵となった文学

九 揺れる文壇体制─創批スーパースターズ 最後のファンクラブ



第五章 「語り」対「批評」─柄谷行人と黄晳暎

一 黄晳暎に対する礼儀─『パリデギ─脱北少女の物語』の内と外

二 韓国文学のルネッサンス─黄晳暎と村上春樹

三 韓国代表という栄光─黄晳暎とシム・ヒョンネ

四 ねじを巻く風景─『沈清』の場合

五 楽しいインタビューと最低限の尊重─小説家対批評家

六 小説から寓話へ─巫堂と探偵

七 経験と判断─「近代文学の終焉」という陰謀

八 黄晳暎と日本という国

九 わたしが張本人だ─黄晳暎対T・K生

一〇 語りを越えて─大江健三郎をめぐって

一一 「長雨」をめぐって─尹興吉と中上健次

一二 根底という幻想─尹興吉と黄晳暎

一三 間違った出会い─黄晳暎と中上健次

一四 語りから批評へ─黄晳暎と柄谷行





原註、訳註

文学者等一覧

訳者あとがき

著者略歴

著:ジョ・ヨンイル
ジョ・ヨンイル(曺泳日 Cho young-il)

1973年生まれ。文芸評論家。著書に本書の他『韓国文学とその敵』『世界文学の構造』『職業としての文学』など

ISBN:9784900997684
出版社:インスクリプト
判型:4-6
ページ数:304ページ
定価:3400円(本体)
発行年月日:2019年11月
発売日:2019年12月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB