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ニューロテクノロジー ~最新脳科学が未来のビジネスを生み出す

著:茨木 拓也

紙版

内容紹介

★フェイスブック、イーロン・マスク……世界的な企業・投資家も注目、いま最も注目すべきイノベーションの最前線がわかる

「言葉を使わず脳から脳へ考えを伝達」
「クラウドファンディングの結果を脳の情報から予測」
「脳を刺激して痛みやADHDの症状を緩和」

SFの夢物語でしかないと思われていたことを実現するニューロテクノロジーの最前線を、新規事業や研究開発の第一線で活躍する著者が解説。

マーケティング、コミュニケーション、医療・ヘルスケア、人工知能まで、さまざまな分野の豊富な事例とともに、イノベ―ションを実現する技術の原理、そしてビジネスに応用し社会に浸透させるための課題がわかる。

目次

■■■はじめに


■■■1章 いま、なぜ脳が注目されているのか
■■プロローグ ~脳科学の発展の先にはこんな未来が待っている?

■■だれも脳・神経の問題から逃れられない
■脳は私たちに最も近くて最も遠い存在
■米国の巨大企業を中心に、数十~数百億円もの大規模投資が
■世界的に神経科学の研究が進んでいる

■■脳科学の知識と方法論を学ぶことはビジネス上でも有益
■顧客が意識上・言葉で説明している情報は(ビジネス上)十分でないことに気づく
■「ふわっとした概念」を科学的アプローチで解決できるようになる
■ヒトの心や行動に関する科学的なリテラシーを持てるようになる

■■脳科学の応用とターゲット領域
■「脳科学」という言葉は国際的にはあまり使われない
■さまざまな分野の「知見」「方法論」「技術」を実社会に応用していく


■■■2章 脳を知るための基礎の基礎
■■人間の「ココロ」を知ろうとする人類の歴史
■近代哲学者はココロとモノをどのように捉えたか
■最新研究で、人間の「ココロ」はどこまでわかっているか
■ココロの世界とモノの世界を結びつける科学の誕生

■■ざっくりわかる脳のしくみ
■脳はどのような構造になっているか
■脳の部位の名前を覚えるコツ
■神経細胞はどのように情報を伝達するか
■コラム 脳をコンピュータとして捉えると


■■■3章 マーケティングに脳科学を活かす
■■人がモノを好きになるしくみ
■何かを好きになる前後ではどんな変化が起きるのか
■関係ない情報処理を結びつける一番シンプルな学習 ~パブロフ型学習
■なぜ、赤ちょうちんを見てしまうと、ふらりと居酒屋に立ち寄ってしまうのか ~オペラント条件付け
■上島竜兵効果
■「高いワインです」と言われて飲むとおいしく感じる?
■ブランディングで行動にも影響を及ぼせる
■薬物から抜け出せない理由 ~強化学習
■「おいしい食べ物」と「中毒誘発ドラッグ」の共通点
■「インスタ脳」に見る人間にとっての報酬の複雑さ
■好みは「学習」で決まる
■PITでブランドのアイデンティティと購買動機の強さを測る

■■なにかを買う時、脳はどのように情報を処理するのか
■商品の価値を見定める3つの神経基盤
■やりすぎると、目的を失っても続けてしまう
■新しいブランドに変えたばかりの人は、新製品やほかのブランドを購入する確率が2倍ほど高くなる
■「ピークエンドの法則」でリピート購買をより促進する

■■ニューロテクノロジーをマーケティングに役立てる
■脳計測の意義とは
■「本当に売れるか?」を評価する
■広告効果の予測・改善をする

■■脳情報のデコーディングで動画広告の質的な評価をする試み
■脳科学はクリエイターの創造性を支援できる“普通のツール”となっていく


■■■4章 脳情報を読みとることで見えてくる可能性
■■脳情報通信技術の基本
■脳情報通信技術とは
■脳情報通信の進化を支える3つの要因

■■脳の情報表現を理解する ~センシングと読みとり
■「とりあえず脳を計測」では徒労に終わりがち
■人間計測技術の全体像
■人の脳活動を計測する手法
■センシング技術×解析技術によるブレイクスルー

■■ブレイン・マシン・インターフェースによって見えてきた可能性
■運動機能を代替する
■運動機能を回復する
■侵襲型システムの利点と欠点
■夢のマルチタスカ―に? 3本目の腕の獲得
■身体の動作に不自由を抱えている人々の生活向上に寄与する
■脳で念じるだけで入力・伝達ができるように
■BMIを使ったレーシングゲーム

■■感覚体験の脳情報を解読する
■ブレイン・デコーディング ~脳情報解読の衝撃
■「ポケモン野」の発見にもデコーディングのアプローチが
■「夢で何を見ていたか」を解読する
■見ている動画の内容を画像として再構成する
■神経予報 ~クラウドファンディングの結果を脳から予測する
■ブレインプリント ~脳情報による個人認証技術
■自殺願望の有無を脳の「概念表象」から解読


■■■5章 脳に情報を書きこむ技術
■■刺激による介入
■刺激による介入の歴史をひもとく
■侵襲的な刺激方法、非侵襲的な刺激方法を比較する
■経頭蓋磁気刺激(TMS)によるさまざまな刺激
■音楽を聴いて「気持ちいい」脳状態の理解と刺激による再現
■直接皮質を刺激することで感覚体験を導入できるか
■刺激技術の臨床応用に関するエビデンス
■寝ている間に刺激を受けるだけで学習効率を上げられるように?
■電気刺激以外に脳を変調させる方法
■電気刺激で問題解決力や創造性を上げる?
■専門スキルの獲得に電気刺激を活用する ~飛行機の操縦
■tDCSは乗り物酔いの救世主?
■tDCSは自白剤のようにウソを減らせるか
■一般ユーザーの刺激装置の利用状況
■刺激装置を用いた事業の例

■■ニューロフィードバック ~外部からの刺激に頼らない介入技術
■ニューロフィードバックの種類
■特定の脳状態をフィードバックする「デコーディッドニューロフィードバック」

■■ニューロフィードバックの臨床応用の可能性
■ADHDを緩和する
■ニューロフィードバックの応用プロジェクト
■英語のLとRを聞き分けられるようになる
■やる気を出したい時に出せるようになる?
■脳波でもfMRIなみのニューロフィードバックが可能に?
■緊張やストレスや集中を自分でコントロールできるように
■ニューロフィードバックは科学的に検証を積み重ねることで発展する
■人工感覚とコグネティクス

■■ブレイン―ブレインインターフェース
■言葉を必要としないコミュニケーションが普通になる可能性
■ブレインネット ~多人数の脳を接続して共同作業ができるように
■ブレイン―ラットインターフェース
■脳情報の読みとりと書きこみ技術の応用範囲のまとめ


■■■6章 脳の仮想化がもたらす未来
■■脳の情報処理をコンピュータに実装する
■AIにおける脳の情報処理の実装例
■人間より高いパフォーマンスを発揮する人工脳アーキテクチャ
■脳情報が機械学習の精度を上げる

■■AIと脳科学の共進化
■人工知能の発展で脳の理解も進んでいく
■エキスパートの脳を仮想化して売る時代に?


■■■7章 ニューロテクノロジーを社会に浸透させていくには
■■脳科学を応用していくうえで気をつけたい5つのこと
■脳科学の限界を正しく認識する
■因果と相関を分離する
■再現性があるか確認する
■抽象的な概念は、その定義と指標化プロセス、機能的意義を含めて納得してもらう
■「ユーザーの課題解決に至るか?」を見極める

■■ニューロマーケティング/消費者神経科学における課題
■ブームの裏には根強い批判が
■マーケティングにおいて脳科学を導入するにあたり避けるべき方略

■■ニューロテクノロジー、脳情報通信技術と倫理
■BMIが進化すると倫理的・社会的・法的な問題の議論が必要になる
■ブレインテックの科学的妥当性
■脳への介入と倫理をどう考えるか

■■脳科学の社会応用にはビジネスサイドとアカデミックサイドの交流が不可欠
■どんなところで、どんな人が脳を研究をしているか
■サイエンスとしてしっかりしているものが、最終的には社会に根づき、人々の生活を豊かにする


■■■おわりに
■脳情報通信社会は黙っていても来ない ~ニューロテクノロジー事業への誘い
■謝辞

著者略歴

著:茨木 拓也
■茨木拓也(いばらき たくや)
株式会社NTTデータ経営研究所 ニューロイノベーションユニット アソシエイトパートナー。
1988年東京都に生まれる。早稲田大学文学部心理学科卒。東京大学大学院 医学系研究科 医科学修士課程(脳神経医学専攻)修了(MMedSc)。同・医学博士課程を中退後、2014年4月にNTTデータ経営研究所に入社。
総務省「次世代人工知能社会実装WG」構成員(2017年、第六回)。早稲田大学商学部招聘講師(2018年)。国際会議「脳科学の事業応用」第一回実行委員長(2019年9月)。
神経科学を基軸とした新規事業の創生や研究開発の支援に多数従事。分野は製造業を中心に、医療、ヘルスケア、広告、Web、人事、金融と多岐に渡る。趣味は仕事と日本酒。
著書に『製品開発のための生体情報の計測手法と活用ノウハウ』(情報機構社、2017年)がある(第一章を担当)。

ISBN:9784297108595
出版社:技術評論社
判型:A5
ページ数:272ページ
定価:1980円(本体)
発行年月日:2019年11月
発売日:2019年11月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MB