よくわかる キャリアコンサルティングの教科書
著:渡部 昌平
内容紹介
■安定したキャリアコンサルティングを実践するために
本書は2020年度以降のキャリアコンサルタント養成講習カリキュラム(150時間以上)に基づいて項目立てをしていますが、キャリアコンサルティング資格試験の合格対策に向けた書籍ではありません。もちろん、キャリアコンサルタント試験を控えた人にとって充実した内容になってはいますが、あくまで実践家がキャリアコンサルティングを実践する上で必要十分な知識や経験を積んでいただくための教科書であり、参考書でありたいと考えています。
たしかに、問題集で過去問を何度も解けば、資格試験には合格できるかもしれません。しかしそうした断片的な知識では、「安定したキャリアコンサルティング実践」はできません。断片的な知識と知識、断片的な知識と経験とをつなぎ、「キャリアコンサルティングに関する統合的な知識と経験」にしていく必要があります。さらに指導者には、自ら教科書が書けるくらいのレベルの「統合的かつ深くて広い知識と経験」を常に最新の情報に更新し続けることが求められます。
このため本書では、近年欧米でも我が国でも主流になりつつあるナラティブ/社会構成主義アプローチの理解をゴールとして、キャリアコンサルティングの理論や実践方法について、キャリア理論やカウンセリング、心理療法の歴史的経緯も踏まえて具体的かつ詳細に論じています。
■より深く学べる。よりスキルの向上を目指す。
本書では発展学習やグループ学習がしやすいように、各項末に【発展学習・グループ学習のための議論のテーマ】を設けています。ただ読むだけの書籍にならないよう「考えるきっかけ」を提供しています。
さらに参考文献は、主にわが国の文献(洋書・外国語論文についてはなるべく邦訳があるもの)を中心とし、読者が分野ごとに追いかけて学習しやすいように配慮しました。
よりスキルを向上させたい、より深く学びたいという声に応える形になっています。
長きにわたりキャリアコンサルティングを実践し、現在も研究を積み重ねる著者が贈る渾身の一冊です。クライエントを想うあなたにこそ、読んでいただきたい必携書です。
◆本書の特長◆
・新旧カリキュラムの対応表付き!
・取り上げる理論家は30名以上!
・2000年代の新理論も網羅!
◆目次◆
第1部 実践者に向けて
第1章 キャリアコンサルティングの社会的意義
第2章 キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
第3章 キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
第4章 キャリアコンサルタントの倫理と行動
第2部 指導者に向けて
第5章 グループアプローチ
第6章 教育指導
第7章 事例指導
コラム&索引付き
目次
はじめに
第1部 実践者に向けて
第1章 キャリアコンサルティングの社会的意義
1 社会および経済の動向ならびにキャリア形成支援の必要性の理解
⑴ 押さえておきたい世の中の動きとキャリア形成の重要性
■コラム■ 厚生労働省キャリアコンサルティング研究会報告書
2 キャリアコンサルティングの役割の理解
第2章 キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
1-2 キャリアに関する理論
⑴ パーソンズ(Persons, F.)
⑵ ウィリアムソン(Williamson, E. G.)
⑶ スーパー(Super, D. E.)
⑷ ホランド(Holland, J. L.)
⑸ コクラン(Cochran, L.)
⑹ ガイスバーズ(Gysbers, N. C.)
⑺ アムンドソン(Amundson, N. E.)
⑻ サビカス(Savickas, M. L.)
⑼ ピーヴィー(Peavy, R. V.)
⑽ その他の理論の流れ
1-2 その他のキャリア理論家について
─意思決定理論や発達理論からの影響・示唆
⑴ ジェラット(Gelatt, H. B.)ほか
⑵ エリクソン(Erikson, E.)
⑶ ロー(Roe, A.)
⑷ ギンズバーグ(Ginzberg, E.)
⑸ ハヴィガースト(Havighurst, R. J.)ほか
⑹ シャイン(Shein, E. H.)
⑺ シュロスバーグ(Shlossberg, N. K.)
⑻ ハンセン(Hansen, S. S.)
⑼ クランボルツ(Krunmboltz, J. D.)
⑽ ホール(Hall, D.T.)
⑾ ブライト(Bright, J. E. H.)とプライアー(Pryor, E. H.)
⑿ バーネット(Burnett, B.)とエヴァンス(Evans, D.)
⒀ 渡部(Watanabe, S.)
■コラム■ アセスメントの利用について
2-1 カウンセリングに関連する理論の理解
⑴ カウンセリングの歴史的流れの理解
⑵ カウンセリングの理論家
⑶ クライエントとのかかわり方の理解
⑷ グループへの対応
2-2 心理療法(臨床心理学)の歴史および人格の理解
─カウンセリングから一旦離れて
⑴ 精神分析的アプローチ
⑵ 行動主義的アプローチ
⑶ 人間性アプローチ
⑷ 新しいアプローチ
■コラム■ これまでの理論の違い・変化を図で整理してみる
■コラム■ 生徒指導提要に記載された「学校で活用できるカウンセリング技法」
■コラム■ 自主学習について
3 職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
⑴ 国による職業能力開発制度
⑵ リカレント教育とは
⑶ 国による職業能力開発に関する支援
4 企業におけるキャリア形成支援の知識
⑴ 人事管理
⑵ 主な業種における賃金,労働時間等の状況
⑶ 積極的なキャリア形成支援と人事管理の必要性
⑷ セルフ・キャリアドック制度について
5 労働市場等に関する理解
⑴ 労働市場の変化
⑵ 労働市場情報の把握
6 労働政策,労働法規,社会保障制度等に関する理解
⑴ 労働基準法
⑵ 最低賃金法
⑶ 労働安全衛生法
⑷ 労災保険法
(労働者災害補償保険法)
⑸ 雇用対策法
⑹ 障害者雇用促進法
(障害者の雇用の促進等に関する法律)
⑺ 障害者差別解消法
(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)
⑻ 高年齢者雇用安定法
(高年齢者の雇用の安定等に関する法律)
⑼ 男女雇用機会均等法
(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)
⑽ 育児・介護休業法
(育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)
⑾ 女性活躍推進法
(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)
⑿ 若者雇用促進法
(青少年の雇用の促進等に関する法律)
⒀ 雇用保険法
⒁ 労働者派遣法
(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
⒂ 職業安定法
⒃ 労働契約法
⒄ 職業能力開発促進法
⒅ 生活保護法
7 学校教育制度,キャリア教育に関する理解
8 メンタルヘルスに関する理解
⑴ メンタルヘルスのために必要なこと
⑵ メンタルヘルスに関する法令・制度
⑶ 代表的な精神的疾病と特徴的な症状
9 中高年齢期を展望するライフステージ,発達課題に関する理解
10 転機に関する理解
11 相談者の多様な特性に関する理解
⑴ 女性支援
⑵ 高齢者支援
⑶ 障害者支援
⑷ ニート・ひきこもり等の支援
⑸ 不本意に非正規雇用で働く若者や,正社員として在職しているが
安易な離職願望などを有している若者など
⑹ その他
第3章 キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
1 基本的な技能
⑴ カウンセリングの技能
⑵ グループアプローチの技能
⑶ キャリアシートの作成指導および活用の技能
⑷ 相談過程全体の進行の管理に関する技能
2 相談過程において必要な技能
⑴ 相談場面の設定
⑵ 自己理解の支援
⑶ 仕事の理解の支援
⑷ 自己啓発の支援
⑸ 意思決定の支援
⑹ 方策の実行の支援
⑺ 新たな仕事への適応の支援
⑻ 相談過程の総括
■コラム■ キャリアコンサルティング過程を促進するテクニックのTips について
第4章 キャリアコンサルタントの倫理と行動
1 キャリア形成およびキャリアコンサルティングに関する教育ならびに普及活動
2 環境への働きかけの認識および実践
3 ネットワークの認識および実践
⑴ ネットワークの重要性の認識および形成
⑵ 専門機関への紹介および専門家への照会
4 自己研鑽およびキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識
⑴ 自己研鑽
⑵ スーパービジョン
5 キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢
⑴ 活動範囲・限界の理解
⑵ 守秘義務の遵守
⑶ 倫理規程の厳守
⑷ キャリアコンサルタントとしての姿勢
第2部 指導者に向けて
第5章 グループアプローチ
第6章 教育指導
第7章 事例指導
おわりに
索引
ISBN:9784760836154
。出版社:金子書房
。判型:A5
。ページ数:228ページ
。定価:2900円(本体)
。発行年月日:2019年11月
。発売日:2019年11月13日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF。