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現象学的人間学(新装版)

講演と論文 1

著:ルートウィヒ・ビンスワンガー
他訳:荻野 恒一
他訳:宮本 忠雄

紙版

内容紹介

ルートウィヒ・ビンスワンガーは20世紀の精神医学に《現存在分析》という新しい道を切りひらき、1966年、85歳の生涯を終えるまで、つねに前衛的な研究活動をつづけてきた。本書は、その代表的な講演と論文をまとめたもので、フッサールの現象学を精神医学のなかに方法としてとり入れ、人間存在の根本構造への探究をテーマとして、広い人文的教養に裏づけされた明晰な思考を展開している。1922年より20数年にわたるそれぞれの講演・論文は、その時点における精神医学界の動向を背景としつつ、時代を超えて生きつづける新しい知見の提出となっている。
「わたくしは人間だ、だからわたくしには人間に関するいかなることも、よそごとには思えないのだ」といったローマ人テレンティウスのことばは、またビンスワンガーのものでもある。いつも病者とともに思考し、それを生きた一精神科医の不滅の光はそこに根ざしている。

目次

まえがき
現象学について
生命機能と内的生活史
夢と実存
ヘラクレイトスの人間理解
精神療法について
人間学の光に照らして見たフロイトの人間理解
精神医学における現存在分析的研究方向

解説

著者略歴

著:ルートウィヒ・ビンスワンガー
1881-1966。スイス、クロイツリンゲンに生れる。家は代々高名な内科医や精神科医を送り出している名家。コンスタンツのギムナジウムを経て、1904年以後ローザンヌ、ハイデルベルク、チューリヒの各大学で医学を学ぶ。学生時代思想的にはカント、ナートルプ、リッケルト、精神医学に関してはボンヘッファー、E・ブロイラー、ユング、フロイトの影響を受ける。1911-56年私立精神病院の院長。フッサールの現象学、ハイデガーの現存在分析論に立脚した人間学を研究。主な著書に『精神分裂病』I・II(みすず書房、1960-61)『現象学的人間学』(みすず書房、1967)『うつ病と躁病』(みすず書房、1972)『思い上がり ひねくれ わざとらしさ』(みすず書房、1995)がある。
他訳:荻野 恒一
1921年大阪に生れる。1944年京都大学医学部卒業。元慶應義塾大学文学部人間科学科客員教授。1991年歿。主著『精神病理学入門』(誠信書房、1964)『ドストエフスキー――芸術と病理』(パトグラフィ双書6、金剛出版、1971)『現象学的精神病理学』(医学書院、1973)ほか。訳書 ビンスワンガー『夢と実存』(1960)『現象学的人間学』(共訳、1967)ほか。
他訳:宮本 忠雄
1930年埼玉県に生れる。1954年東京医科歯科大学医学部卒業。精神医学専攻。自治医科大学名誉教授。1999年歿。著書『精神分裂病の世界』(紀伊國屋書店、1966)『人間的異常の考察』(筑摩書房、1970)『現代の異常と正常』(1972)『言語と妄想』(1974、以上平凡社)『妄想研究とその周辺』(弘文堂、1982)ほか。訳書 フランクル『時代精神の病理学』(1961)『神経症』(共訳、1961)ビンスワンガー『現象学的人間学』(共訳、1967)メルロ=ポンティ『知覚の現象学』2(共訳、1974)テレンバッハ『味と雰囲気』(共訳、1980)『メランコリー』(1985、以上みすず書房)ハンス・トリューブ『出会いによる精神療法』(共訳、金剛出版、1982)ラカン『パラノイア性精神病』(共訳、朝日出版社、1987)ほか。

ISBN:9784622088721
出版社:みすず書房
判型:A5
ページ数:320ページ
定価:6000円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年11月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ