地域から国民国家を問い直す
スコットランド、カタルーニャ、ウイグル、琉球・沖縄などを事例として
編著:奥野 良知
内容紹介
一つの国家に一つのネイション(国民=民族)と一つのアイデンティティしか認めない「国民国家」と対峙する少数派は吸収・統合されるしかないのか? それとも独立か? 複数のネイションが共存する国家は可能なのか? 欧州、カナダ、中国、日本を例に考察。
目次
はじめに
第1章 総論――「国民国家」の問題を考えるに当たって[奥野良知]
第2章 〈イギリス①〉スコットランドの独立運動とイギリス政治のゆくえ[山崎幹根]
はじめに
1 スコットランド独立運動の歴史的背景
2 2014年9月 独立を問う住民投票
3 その後も続くSNPの躍進
4 スコットランド法の改正と権限移譲
5 2016年6月EUからの離脱を問う国民投票
6 2017年下院選挙と今後のゆくえ
第3章 〈イギリス②〉北アイルランド自治の現状と課題[福岡千珠]
はじめに
1 分断と自治
2 「自治」なき時代
3 ベルファスト和平合意後の「自治」
4 紛争の停止から対話の実現に向けて――「多極共存型民主主義」の評価
おわりに
第4章 〈スペイン①〉問われているのは「地域」か「国家」か――自己決定権をめぐるバスクの動向を追う[萩尾生]
はじめに
1 「バスク地方」とは――空間領域意識の問題
2 バスク・ナショナリズムの系譜
3 バスク自治州体制
4 自決権をめぐる駆け引き
5 今後のシナリオ
第5章 〈スペイン②〉カタルーニャ・スペイン問題――問われているのはスペインの多様性、民主主義、人権[奥野良知]
1 カタルーニャの独立派と反対派
2 スペイン・カタルーニャ問題略史
3 1978年憲法の制定と自治州
4 新自治憲章の制定(2006年)と違憲判決(2010年)
5 ラホイ国民党政権による再中央集権化
6 独立に向けた「プロセス」の開始(2014年~)とスペイン政府の対応
7 住民投票、独立宣言、自治権停止
8 「政治犯」とカタルーニャ問題の国際化
むすびに代えて――終わらないスペイン・カタルーニャ問題
第6章 〈カナダ〉ケベック問題が問いかけるもの[太田唱史]
はじめに
1 国民国家とトルドーの国家観
2 カナダ国民形成とケベック・ナショナリズムの興隆
3 揺れ動く国家観
4 ケベック問題の本質
おわりに
第7章 〈旧ユーゴスラヴィア〉コソヴォの独立を考える――独立宣言から10年を経て[柴宜弘]
はじめに
1 コソヴォ紛争とは
2 どのような独立だったのか
3 独立以後の問題
むすびに代えて
第8章 〈中国〉〈国民国家〉と〈国際関係〉の中の新疆ウイグル自治区[田中周/鈴木隆]
はじめに
1 中国共産党の民族政策の概観
2 新疆ウイグル自治区における中国共産党の国家建設
3 中国‐中央アジアの国際関係からみる新疆ウイグル自治区
おわりに
第9章 〈日本〉民族の自己決定権に基づく「復国」としての琉球独立――中華民国・琉球関係、国際法、カタルーニャ独立を導きの糸として[松島泰勝]
1 琉球独立を巡る中華民国の外交
2 琉球独立の国際法上の正当性
3 国連、国際法を活用した脱植民地化運動
4 カタルーニャ独立が琉球にとって持つ意味
むすびに代えて――県民投票後、琉球は何をすべきか
ISBN:9784750349084
。出版社:明石書店
。判型:4-6
。ページ数:288ページ
。価格:2600円(本体)
。発行年月日:2019年10月
。発売日:2019年10月09日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPH。