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NHK出版新書 603

AI以後

変貌するテクノロジーの危機と希望

著:丸山 俊一
著:NHK取材班

紙版

内容紹介

「人間vs.AI」を超えた、世界の知性の最先端ビジョン!

急速に進化し続ける人工知能は今後どうなり、私たち人間や社会はそれにどう影響されるのか? A I万能論や脅威論を超えた先にある、テクノロジーの真のリスクと可能性とは? 物理学、哲学など研究分野の異なる4人の世界的知性が見据える最先端のビジョンを通して、来るべき人類の未来とその対峙法をさぐる。

目次

    はじめに

第1章 意識 AIはどこまで信頼できるか
    ──マックス・テグマーク
    人間を超える知能の開発は可能か?
    宇宙物理学者にとって知能とは
    「理解可能」なAIの条件
    「失敗から学ぶ」では済まないAIの安全性研究
    安全で有益な知能は開発できるか──「アシロマAI原則」
    意識とはどのような「情報処理」か
    意識を持つAIと持たないAIを作り分けるべき
    人生の意味や目的はどのように得られるのか
    AIの「心」の設計には自由度がある
    意識の研究がついに科学的に検証可能なものになる?
    超知能が実現した未来の人間の役割
    AI以後に生まれる経済モデル
    AIがゼロサムゲームや格差社会を解消する?
    超知能に目標を理解させるには

第2章 倫理 AIに正義は決められるか
    ──ウェンデル・ウォラック
    世界放浪の末にAIの世界へ
    AIがもたらす破壊的なリスクは避けられるか
    AIが貧富の差を拡大させる?
    60s「政治の季節」の歴史から学ぶ倫理
    機械に「道徳」は実装できるか
    AIも道徳を学ばなければならない
    AIは「不完全な鏡」である
    すべては啓蒙思想から始まった
    「人類の将来を握るテクノロジーが運転席に着いた」
    「感情」という残された課題
    AIに意識=自己認識は組み込めるか
    そもそも人間は知性を定義できるのか
    人間とAIの三つの決定的な違い
    ロボットに心のケアを期待するとき
    AIの出現が私たちに自身の価値観を問いなおさせる
    AIに責任ある行為を任せてよいのか?
    機械と人間が連携するときの倫理的ジレンマ

第3章 自律 AIが「心」を持つと何が起きるか
    ──ダニエル・デネット
    AIは“心を持たない”知的ツールであるべき
    「自律性」を持つということは隠し事をするということ
    AIは「AIとしての意識」を持てるが……
    「意味」を理解できないAIは人間のようになれるか
    漸進性という概念の重要性 
    AIも「直感」を持てる
    信用は遺伝ではなく文化の一部
    AIが人間より賢くなることの代償
    「進化は“あなた自身が考えるあなた”より賢い」
    「ミーム」による進化は止まらない
    ソフトもDNAもコピーされていくことが本質
    ソフトウェアはDNAと同じように永遠になる?
    チューリングのコンピュータ理論とダーウィンの進化論が重なるとき
    人間の創造性の源泉とは
    AIは主体性を持たずとも世論を操作しうる

第4章 進化 AIで人間は何者になれるか
    ──ケヴィン・ケリー
    これから起きる二度目の産業革命
    AIは「命の延長」であり、自ら創造するシステムだ
    人間の知性も一つの類型でしかない
    AIで人間の性質も変わる?
    AIは私たちの倫理観の不完全性を映し出す
    テクノロジーの多様性が多くの選択肢を与える
    私たちは何者になりたいのか
    補うだけでなく開発され手に入る新しい五感
    テクノロジーが私たちの食も変えていく
    AIには人間と異なる創造性がある
    XAI──AIに意識が生まれるとき
    異質なものと出合う衝撃は何をもたらすか
    人間は何者になることができるのか? が究極の問いになる

終章 「逆転の発想」がもたらす視界(丸山俊一)
    常識か呪縛か? AIが私たちに認識の転換を迫る
    AIとは何か? ──情報処理の能力で人間に並ぶ機械
    AIはいかに進化する? ──「意識」から「自律性」へ
    AIを生むに到る原点「啓蒙思想」の功罪
    AIは近代主義を越える幸福の形を私たちに迫る
    AIの自律性をどう考えるか
    脳と心の二元論を越えて
    「理解力なき有能性」というパラドックス
    未来を想像してしまうことの功罪
    連続性ある「意識」はいつの間にか独り歩きする
    脳による設計だけでは「適応」できない社会の到来
    AIがもたらす真の「多様性」「寛容性」とは?
    他者性と対話する感性の時代へ
    AIが生命的な衝動を持つとき
    「漸進性」──少しずつ、手探りで深まる理解

    あとがきにかえて──再び「常識」か? 「呪縛」か? 既に始まっているAI以後

著者略歴

著:丸山 俊一
1962年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。「欲望の資本主義」「欲望の時代の哲学」「人間ってナンだ? 超AI入門」他、時代を独自の視点で斬る異色の教養番組を企画、制作し続ける。現在NHKエンタープライズ番組開発エグゼクティブ・プロデューサー。著書『14歳からの資本主義』『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』ほか。東京藝術大学客員教授、早稲田大学非常勤講師を兼務。

ISBN:9784140886038
出版社:NHK出版
判型:新書
ページ数:208ページ
定価:800円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年10月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:UD