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明治維新に不都合な「新選組」の真実

著:吉岡 孝

紙版

内容紹介

土方歳三戦没150年…

新選組は「賊軍」「敗者」となり
その本当の姿は葬られてきたが
「剣豪集団」ではなく、近代戦を
闘えるインテリジェンスを持った
「武装銃兵」部隊だった!

いまこそ「官軍の正義」を疑え!
「新選組の歴史」が変わる!

初公開を含む「豊富な図版点数」を収録。

いまこそ「新選組」の本当の姿をお伝えしよう

◆ 長州&土佐は上洛直後の新選組のスカウトに動いた
◆ 新選組は剣豪集団ではなく「武装銃兵」部隊だった!!
◆ 「俺たちはいくらでも近代戦を戦える!」
—————そう語ったと読み取れる土方歳三の言葉とは!?
◆ 新選組の組織と理念は、本当は芹沢鴨が作った?
◆ 近藤勇より格上の天然理心流師範が多摩に実在!
◆ 新選組は幕末アウトロー界の頂点に君臨していた!?
◆ 幕末の「真の改革者」はみな江戸幕府の側にいた!!

ともすると幕末・明治は、国論が「勤王・佐幕」の2つに割れて、守旧派の幕府が、開明的な近代主義者の「維新志士」たちによって打倒され、「日本の夜明け」=明治維新を迎えたかのような、単純図式でとらえられがちです。ですが、このような善悪二元論的対立図式は、話としてはわかりやすいものの、議論を単純化するあまりに歴史の真実の姿を見えなくする弊害をもたらしてきました。
 しかも歴史は勝者が描くもので、明治政府によって編まれた「近代日本史」は、江戸時代を「封建=悪」とし、近代を「文明=善」とする思想を、学校教育を通じて全国民に深く浸透させてきました。
 そんな「近代」の担い手たちにとって、かつて、もっとも手ごわかった相手が新選組でした。新選組は、明治政府が「悪」と決めつけた江戸幕府の側に立って、幕府に仇なす勤王の志士たちこそを「悪」として、次々と切り捨てていきました。
 新選組の局長近藤勇は、自己の置かれている政治空間と立場を体系的に理解しており、一介の浪士から幕閣内で驚異的な出世を遂げた人物です。そんな近藤の作った新選組という組織を、原資料を丁寧に読み込み、編年形式で追いながら、情報・軍事・組織の面から新たな事実を明らかにしていきます。
 そこには「明治維新」にとって不都合な真実が、数多くみられるはずです。

目次

はじめに 「新選組」の時代

新選組局長「近藤勇」の魅力とは  
新選組は「最後の武士」か?  


序章 幕末の政治・社会情勢  

本当は薩長より「開明的」だった江戸幕府  
近代日本が流布した「不平等条約」の欺瞞  
朝廷・徳川斉昭・井伊直弼の複雑な関係  
「テロの時代」の幕開けと新選組の登場  


第1章 新選組「京」へ征く 
 
第1節 近藤家と八王子千人同心  
天然理心流「三代目宗家」の実態  
四代目「宗家」近藤勇の野望  
第2節 剣術道場とネットワーク  
「近藤道場」の新選組メンバー  
幕藩体制から弾かれし者たちの「兄貴」格  
第3節 「浪士組」の誕生  
清河八郎の「浪士組」献策  
清河八郎は「裏切り」の策士か?  
コラム 錦絵に描かれた「新選組」①  


第2章 「新選組」結成への道  

第4節 京都守護職会津藩  
会津藩主松平容保の上洛  
長州・土佐より先に早く「浪士組」を引き取れ!  
第5節 「芹沢鴨」暗殺の真相  
荒くれの志士「芹沢鴨」の実像  
近藤勇を魅了した芹沢の「水戸学」的思考  
第6節 新選組の「隊名」と「隊旗」  
隊名は「新選組」か、「新撰組」か?  
「誠」の旗に込められた意味  
第7節 新選組の隊規 「士道」「金策」「訴訟」
「局中法度」は子母澤寛の創作  
「士道にそむくまじきこと」の意味  
「かってに金策いたすべからざること」と浪人集団  
「かってに訴訟とりあつかうべからず」とは  
芹沢が作り近藤が継承した「隊規」のもとで  
コラム 錦絵に描かれた「新選組」②  


第3章 「池田屋」の勇名  

第8節 池田屋事件と新選組  
浪人集団ならではの機動力を発揮  
近藤勇、「幕臣」への誘いを断る  
池田屋事件の褒賞  
松平容保の「礼状」  
第9節 関西出身の新選組隊士「山崎烝」  
山崎烝の人的・情報ネットワーク  
新選組「諜報活動」の中核を担う  
第10節 新選組の情報収集活動  
第二次長州征討と新選組  
「必勝之策」なし「御寛大之御処置」を  
コラム 錦絵に描かれた「新選組」③  


第4章 戊辰戦争と新選組の最期 
 
第11節 新選組と「洋式調練」  
月に12回も行われていた洋式調練  
「雷管式先込銃隊」としての新選組  
月15回に増加した洋式調練  
新選組の「幕臣化」と分裂  
第12節 アウトローと赤報隊  
博徒水野弥太郎と新選組  
水野弥太郎を使い捨てにした新政府  
第13節 鳥羽・伏見の戦いと新選組  
本来、戦う必然性がなかった「幕府軍」  
土方歳三「戎器は砲に非ざれば不可」の真意  
第14節 近藤勇の最期と土方歳三の写真  
近藤勇は「死に場」を大坂城と考えていた⁉  
「逆賊」の烙印と土方歳三の写真  
コラム 実戦参加者が描いた「宮古湾海戦」  

 
巻末企画 中島登『戦友姿絵』を読み解く  

解説 中島登と『戦友姿絵』  
箱館戦争の生き残り「中島登」の生涯  
明治になって「八王子千人同心」になった男  
『戦友姿絵』の世界  

あとがき  

ISBN:9784584126042
出版社:ベストセラーズ
判型:新書
ページ数:192ページ
定価:860円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年10月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ