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NHK出版新書 597

革命と戦争のクラシック音楽史

著:片山 杜秀

紙版

内容紹介

クラシック音楽は第一級の歴史史料だ!

戦争と無縁に思える芸術も、ときに戦争によって進化を遂げてきた。
そんな「不都合な真実」からクラシック音楽の歴史をながめてみれば、驚きの事実が次々と立ち上がってくる。
かのモーツァルトも意外と軍国的だった?ナポレオンなくして「第九」はなかった?博覧強記の著者が大胆に料理する、
「世界史×音楽史」の新教養。

 序章 暴力・リズム・音楽
第一章 ハプスブルク軍国主義とモーツァルト
第二章 フランス革命とベルリオーズ
第三章 反革命とハイドン
第四章 ナポレオン戦争とベートーヴェン

目次

 序章 暴力・リズム・音楽
    芸術の神は砲声を喜ぶ
    戦いにリズムありき
    名作は戦争から生まれる
    戦争と音楽はぐるぐる回る
    音楽史はナイーヴではありえない

第一章 ハプスブルク軍国主義とモーツァルト
    モーツァルトの軍隊調
    「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」は軍歌
    落日のハプスブルク帝国
    軍国プロイセンの台頭
    文化芸術を愛したフリードリヒ二世
    ハプスブルク帝国の軍国主義
    マリア・テレジアの執心
    軍国の作曲家、モーツァルト
    トルコ行進曲の世界
    トルコ軍楽はうるさい!
    オスマン帝国の野望
    オスマン、ウィーンを包囲する
    オスマン、ウィーンを楽します
    墺土戦争とモーツァルト

第二章 フランス革命とベルリオーズ
    虚無と狂乱の『幻想交響曲』
    ロマン派音楽としての『幻想交響曲』
    ロマンティストの自己暴露の儀式
    ギロチンへの行進
    なぜパリの聴衆は熱狂したか
    自由・平等・友愛
    革命は輸出可能!
    愛国心は外敵に向けて生ずる
    『ラ・マルセイエーズ』
    フランス革命と軍隊
    民衆の軍隊は歌うと強くなる
    ギロチンとチェンバロ
    ギロチンと弁護士
    ナポレオン時代から七月革命へ
    七月革命と『幻想交響曲』
    『幻想交響曲』成立の前提条件
    ゴセックとベートーヴェン

第三章 反革命とハイドン
    交響曲『バスティーユ襲撃』
    盛り上がるには準備がいる!
    引用の魔力と詐術
    映画『二百三高地』と信時潔の『海ゆかば』
    革命の時代に見合った音楽
    目には目を、歯には歯を、歌には歌を
    帝国臣民を興奮させる歌
    イギリス王になったハノーファー選帝侯
    イギリス国歌『神よ、国王を護り賜え』
    ハイドンの『皇帝賛歌』
    ハイドン、失業する
    ハイドン、ロンドンへ行く
    市民向きに変化した音楽
    ロンドン趣味を持ち帰ってみたら

第四章 ナポレオン戦争とベートーヴェン
    受け手が限定的だった時代
    新しい時代は新しい才能を求める
    ベートーヴェン登場
    ピアノ・ソナタ第八番『パテティック』
    「パテティック」の本義
    新時代にみんなを感動させる方法
    ベートーヴェンとナポレオンの共通点
    グラーヴェと葬列
    ベートーヴェンの発明
    フランス革命と葬送行進曲
    交響曲に入り込む葬送行進曲
    オペラを超えるオペラ
    個人でなく集団
    革命精神の象徴
    合唱がもたらす効果
    バスティーユ襲撃と『フィデリオ』
    無限の戦争か、永遠の平和か
    『ラ・マルセイエーズ』から「歓喜の歌」へ
    ユートピアの世界

    本書関連年表

著者略歴

著:片山 杜秀
1963年、宮城県生まれ。思想史家、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。専攻は近代政治思想史、政治文化論。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。著書に『音盤考現学』『音盤博物誌』(アルテス・パブリッシング、吉田秀和賞・サントリー学芸賞)、『未完のファシズム』(新潮選書、司馬遼太郎賞)、『「五箇条の誓文」で解く日本史』(NHK出版新書)、『鬼子の歌』(講談社)など。

ISBN:9784140885970
出版社:NHK出版
判型:新書
ページ数:200ページ
定価:800円(本体)
発行年月日:2019年09月
発売日:2019年09月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AVM