高齢者の生活困難と養護老人ホーム
尊厳と人権を守るために
他編:河合 克義
他編:清水 正美
他編:中野 いずみ
内容紹介
高齢者のセーフティーネットである養護老人ホームの存在が危ない!? 低所得で複雑な生活困難を抱える高齢者が増えるなかで、ホームの役割は大きくなっている。研究者、施設・自治体職員が現代のホームの実像をリアルかつ立体的に描き、高齢者福祉のあり方を問う。
目次
はじめに [河合 克義]
■1■ 高齢者の生活困難の現実
1 人口減少と高齢化
2 地域社会の不安定化と高齢者
3 世帯構造の変化と高齢者
4 生活基盤の不安定化と高齢者
東京都港区のひとり暮らし高齢者
山形県のひとり暮らし高齢者
都市と農村のひとり暮らし高齢者
5 高齢者の生活困難の現実をどうみるか
貧困・孤立問題
高齢者の生活困難と措置
■2■ 養護老人ホームの歴史的変遷と位置づけ [清水 正美]
はじめに
1 養護老人ホームの歴史的な変遷
第1期:老人福祉法制定から1970年代まで―施設整備と在宅福祉
第2期:1980年代―制度の激変期
第3期:1990年代―在宅施策の重視と保険方式の検討
第4期:2000年代―介護保険制度と措置制度
第5期:2010年代―養護老人ホームの現代的あり方の検討
2 養護老人ホームの変遷における4つの転換点
養護老人ホームの新設をしない:1976年
社会福祉基礎構造改革と介護保険制度の創設
三位一体改革による一般財源化
養護老人ホームへの措置要件の改正と介護保険給付の適用
3 措置施設としての養護老人ホームの強みと課題
措置施設としての養護老人ホームの強み
措置施設としての養護老人ホームの課題
■3■ 養護老人ホームの現状 [中野 いずみ、平岡 毅]
1 入所者の傾向と支援ニーズ
多様化する高齢者の住まいのなかで
養護老人ホームの設置状況と措置率
入所者の概況
相談・生活支援に関わる職員とその役割
養護老人ホームにおける介護ニーズへの対応
精神障害をもつ入所者の増加とその社会的背景
虐待からの保護の受け入れ
2 建物・設備の現状
3 施設としての機能、社会資源としての価値
養護老人ホームにおける介護保険制度の利活用
3つの類型
3つの類型のメリットとデメリット
基本的な職員体制(配置基準と職種)
養護老人ホームとしての機能と社会資源としての価値
■4■ 養護老人ホームの取り組み事例 [清水 正美、平岡 毅、大山 知子、寺井 孝典、常盤 勝範]
・ 聖ヨゼフ・ホーム:お一人おひとりに“福祉”を届けるという携わり
・ アオーラ而今:養護老人ホームが福祉の未来を切り開く
・ かるな和順:養護老人ホームだからこそできること、すべきこと
・ 慈母園:思いやりの心を広く、深く
■5■ 地方自治体と高齢者 [河合 克義、平岡 毅、吉田 峰子、中山 泰男]
・ 東京都葛飾区における高齢者支援
・ 奈良県御所市における高齢者支援
・ 熊本市における高齢者支援
・ 熊本県合志市における高齢者支援
・ 一般財源化の影響と対応
■6■ 養護老人ホームにおける相談・生活支援 [中野 いずみ、志村 靖子、瀬尾 享弘、井口 妙子]
1 居住型福祉施設としての実践が目指すもの
はじめに
相談・生活支援における個別理解の視点
生活の場をベースにしたソーシャルワークとケアワーク
生活の場を整える支援
プランニングから支援の展開へ
2 個別支援の展開:施設における実践から
1 白寿荘における個別支援
施設の概要とパッケージプラン活用について
事例:喫煙の習慣をめぐって、個人の尊厳を守り日常生活を支援したケース
2 洛南寮における個別支援
施設の基本情報
当施設での「処遇計画」と「特定施設サービス計画書」について
事例:うつ病から認知症を発症、重介護となり特別養護老人ホームに移行したケース
3 まとめ
2事例が提示する相談・生活支援の課題
支援計画
■7■ 高齢者の生活困難に立ち向かう養護老人ホーム [河合 克義]
1 養護老人ホームの措置
養護老人ホームの措置
地方自治体における措置の実態
2 高齢者福祉政策の総合化
介護保険制度の導入、措置から契約へ
高齢者福祉施策の縮小と求められる政策の総合化
3 高齢者の生活困難と介護問題
4 高齢者の生活困難に立ち向かう養護老人ホーム
あとがき
巻末資料:老人福祉法(抜粋)、養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(抜粋)
ISBN:9784589040251
。出版社:法律文化社
。判型:A5
。ページ数:206ページ
。定価:2500円(本体)
。発行年月日:2019年09月
。発売日:2019年09月11日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS。