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ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治

著:山折 哲雄
著:綱澤 満昭

紙版

内容紹介

それは一つの論文から始まった。
なぜ︑最後の手帳が公開されても、「ヒデリ」は「ヒドリ」に訂正されることはなかったのか。手帳に記された「ヒドリ」の文字を高村光太郎はなぜ、「ヒデリ」と墨書したのか。手帳のなかから取り出された「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」は作者の意図とは無関係に日本で最も有名な詩の一つとして世界中を独り歩きしている。
果たして「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」の前後に書かれた曼荼羅とこの詩を切り離したことは正しかったのか。そして、本当に愛した人は誰だったのか。
我々は議論しなくてはならない。宮沢賢治が生きていたら、もしかすると今日、「ヒデリ」と伝えられているこのことを「ぼくはヒドリと書いた」と明確に否定するに違いないからだ。

目次

第1章 手帳の中の「雨ニモマケズ」の真実  
 ◉「ヒドリ」と「ヒデリ」をめぐる和田文雄氏の論文から
 ◉高村光太郎の墨書のナゾと罪業意識
 ◉切り離された宗教と文学
 ◉方言を手がかりに

第2章 賢治が愛した人々
 ◉賢治のセクシャリティと保阪嘉内
 ◉重なる悲恋、妹トシの自省録
 ◉斎藤宗次郎とデクノボー論
 
第3章 賢治と「農」の関係
 ◉「東北」という背景 
 ◉賢治は農本主義者か
 ◉山男・縄文・童子・鬼

第4章 最後をどう生きるか
 ◉雪や雨と同じだと言った賢治の戦争観
 ◉いのちと向き合い最後に行き着く法華経

著者略歴

著:山折 哲雄
宗教学者、評論家。1931 年、サンフランシスコ生まれ。
1954 年、東北大学インド哲学科卒業。国際日本文化研究センター名誉教授(元所長)。
著書に『愛欲の精神史』(小学館・和辻哲郎文化賞受賞)『日本仏教思想の源流』(講談社学術文庫)『法然と親鸞』(中央公論新社)『「身軽」の哲学』(新潮選書)など多数。
著:綱澤 満昭
思想史家。1941 年、満州(中国東北部)生まれ。
1965 年、明治大学大学院修士課程修了、専攻は近代日本政治思想史。近畿大学名誉教授、姫路大学(元)学長。
著書に『日本の農本主義』(紀伊國屋書店)『農本主義と天皇制』(イザラ書房)『柳田国男讃歌への疑念』(風媒社)『日本近代思想の相貌』(晃洋書房)『思想としての道徳・修養』(海風社)『宮沢賢治の声 —啜り泣きと狂気』(海風社)
『農本主義という世界』(風媒社)など多数。

ISBN:9784876160600
出版社:海風社
判型:B6
ページ数:280ページ
価格:1800円(本体)
発行年月日:2019年09月
発売日:2019年09月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ