出版社を探す

人間形成論―人間と教育の基本的関係の探究―

著:田井 康雄

紙版

内容紹介

「人間とは何か」という基本的問いかけは、さまざまの人間科学を発達させてきた。なかでも、教育学とのかかわりにおいて教育人間学という多面的視点から人間の本質を捉えつつ人間の成長・発達の根本的あり方について探究する学問は、それまで当然の存在であった人間の本質を見極める必要性を明らかにした。
 人間形成論とはこのような教育人間学の研究手法を活用し、二重の意味における人間(個としての人間と人類としての人間)の成長・発達の段階だけでなく、生涯(個としての生涯と人類としての生涯)にわたる人間の形成過程を研究する学問である。
 本書では、次のような順序に従って、人間形成論を展開する。
 第1章では、「人間が人間になる」の意味を明らかにすることによって、人間形成の基礎理解を深めていきたい。
 第2章では、人間形成の構造を分析し、人間形成そのもののあり方を明らかにしていきたい。
 第3章では、人間形成の諸段階を辿っていくことによって、人間の生涯におけるそれぞれの段階でのあり方、役割、使命、問題等多面的に考察していきたい。
 第4章では、このような人間形成の過程において生じてくる教育問題がいかなる意義をもち、いかに対応していかなければならないかについて究明していきたい。
 第5章では、今後の人類社会において人間形成論が担わなければならない問題、そのための使命について考察していきたい。
 本書は人間科学を専攻する諸学生、研究者にとって必読の書であり、教育学分野における研究者にとっては学問的基礎を築く手助けになる書である。
(まえがきより抜粋)

目次

第1章 「人間になる」の意味
  第1節 生理的早産の意味
  第2節 教育的有機体
  第3節 自己形成の構造
  第4節 子どもと大人
  第5節 ストレス耐性の生成と育成
  第6節 「明確な自己意識をもつ社会的動物になる」
第2章 人間形成の構造
  第1節 明確な自己意識をもつようになる存在
  第2節 社会的動物になる存在
  第3節 明確な自己意識をもつ社会的動物という自己矛盾
  第4節 相互影響授受的存在である人間
  第5節 他者からの教育愛の必要性
第3章 人間形成の段階と教育
  第1節 乳児期の教育
  第2節 幼児期の教育
  第3節 少年期の教育
  第4節 青年期の教育
  第5節 成人期の教育
  第6節 老年期の教育
第4章 人間形成の過程に生じる教育問題
  第1節 いじめ・ハラスメント
  第2節 不登校・ひきこもり
  第3節 学級崩壊・社会的逸脱
  第4節 モンスターペアレント
  第5節 問題教師
  第6節 不良老人
第5章 人間形成の使命
  第1節 人間形成の主体と客体
  第2節 超高齢社会における人間形成
  第3節 これからの人間形成
  第4節 人間形成を目指す教育のあり方
  第5節 親による教育と教師による教育
  第6節 社会生活を通じての自己形成

著者略歴

著:田井 康雄
1950年、大阪市に生まれる。
1980年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学(教育哲学専攻)。
現在、九州産業大学人間科学部子ども教育学科教授。

ISBN:9784780607710
出版社:学術図書出版社
判型:A5
ページ数:208ページ
定価:2100円(本体)
発行年月日:2019年07月
発売日:2019年07月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA