岩波ジュニア新書 901
カガク力を強くする!
著:元村 有希子
内容紹介
科学・技術の進歩が暮らしの隅々にまで入り込み、その恩恵を当然のこととして享受する私達。しかし一方で、原発やゲノム編集など危うさもクローズアップされている今、科学記者とし活躍する著者は、「カガク力」=「疑い、調べ、考え、判断する力」を身に付けること。それが賢く生きる術となり、よりよい未来をつくる土台になっていくと説く。
目次
はじめに
◆1章 科学に囲まれた暮らし
AIと共存する社会/シンギュラリティは来るのか/AIに仕事を奪われる?/第四次産業革命が起きている/遺伝子が人生を変える/共感と異論と/HPVワクチン問題に学ぶこと/科学・技術の光と影/「文明社会の野蛮人」/ブラックボックス化する科学・技術
◆2章 疑え! 疑え! 記者という仕事
内気な少女が作文に出会った/愛読書は『暮しの手帖』/好きだった理科が嫌いになった/聞く・理解する・共感する/理科嫌いの科学記者/鵜呑みにせず「裏を取る」大切さ/因果関係には慎重に/「疑似科学」はなぜ科学ではないのか/科学が科学である理由/誰がやっても「再現」できるか/仮説→実験→検証のくり返し/疑似科学の心配な使われ方
◆3章 社会とつなぐ――科学コミュニケーションの可能性
科学者に会ったことがありますか?/「?」だらけのニュートリノ/すごいのに社会の裏方/「何になるか」より「何をするか」/専門家と社会をつなぎたい/気取らない交流の場「サイエンスカフェ」/科学祭が盛んなイギリス/「科学は文化」を実感した英国留学/街じゅうが博物館/ガラクタの山から科学が生まれた/イギリス人は疑い深い/原発事故と東日本大震災/原発事故報道の限界/科学の「不確かさ」をどう伝えるか/原発をどうするか/トランス・サイエンス
◆4章 いのちを支える科学
再生医療が寿命を伸ばす/人生の「始まり」にある科学/不妊治療大国ニッポン/普及する生殖補助医療/技術の拡大 どこまで許されるか/「本当の父親」を捜す/自分のルーツを知りたい/科学と法律が犯した過ち/デザイナー・ベビーは許されるか/科学・技術が人命を奪う/行動する科学者たち
◆5章 これから生きていくあなたに
二〇世紀の予言/二二世紀はどんな世界に?/何が科学をゆがめるのか/自然と科学の共存――ボルネオで考えた/熱帯雨林を壊して富が生まれる/「持続可能な開発」への挑戦/無関心は最大の敵/分けるの反対!
◆6章 カガク力が身につく五つのコツ
その一 出会ってみる/その二 おもしろがる/その三 分からないことは分からない/その四 それでも考え,行動する/その五 「絶対,はない」と知り等身大で向き合う
付録 科学と上手につきあうためのおすすめ本
あとがき